マイクロソフトは2009年6月24日、データウエアハウス(DWH)を構築するためのハードウエアとソフトウエアをセットで提供するDWHアプライアンス製品を発表した。同社がDWHアプライアンス製品を投入するのはこれが初めて。今年1月に同製品の出荷を始めた日本オラクルに対抗する形だ(関連記事)。同日から出荷を始める。

 名称は「SQL Server Fast Track Data Warehouse」。同社のデータベースソフト「SQL Server 2008」と、日本ヒューレット・パッカードとデルの汎用サーバー、ストレージを組み合わせた。サーバー、ストレージにおけるCPUやI/Oチャネルなどは、保存するデータ容量に応じて最もパフォーマンスの高い構成を定めて提供する。事前に構成を決めることで、導入企業による性能検証の手間を軽減できるとする。

 マイクロソフトの五十嵐光喜 業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部本部長は「市場の約7割を占める32T(テラ)バイト未満のDWHを構築する企業を対象に販売する」と話す。マイクロソフト製品と日本HP、デル製品を扱うパートナー企業を通して販売する。

 米マイクロソフトは昨年、DWHアプライアンスの専業ベンダーであるデータアレグロを買収した(関連記事)。マイクロソフトの五十嵐光喜 業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部本部長は「データアレグロの技術『SMP Reference Calculator』の採用で、最もパフォーマンスを発揮するハードウエアの構成が把握できるようになった」と説明する。SMP Reference CalculatorはCPUコアの使用率とストレージのスループットから、CPUとI/Oチャネル、ストレージの最適な構成を自動的に算出するスプレッドシート。性能のボトルネックを発見できるとともに、オーバースペックによるムダをなくすこともできるという。

 価格は4T~8Tバイトの利用に最適化し、サーバーとストレージに日本HP製品を採用した組み合わせが1130万8300円、12T~24Tに対応しデル製品を採用した組み合わせが4226万6908円などとなっている。今回発表した組み合わせは計5種類で、「他社は価格を明らかにしていないが、当社の調査ではTバイト当たりの価格は他社製品に比べ2分の1から3分の1だ」(五十嵐業務執行役員)。今後は採用するハードに国産メーカーの製品なども含める計画だという。

 今回の製品はSMP Reference Calculatorを利用して構成を決めてはいるものの、データアレグロ製品そのもののリブランドではない。データアレグロ製品は、日本オラクル、日本テラデータなどと同様、複数のサーバーを相互接続するMPP(大規模並列プロセサ)を採用し、大容量のデータの処理を得意としている。一方、SQL Server Fast Track Data Warehouseは一つのきょう体内で処理をするSMP(対称型マルチプロセサ)で、対応容量は32Tバイトを上限にしている。これを超える容量のデータを扱う場合には、来年投入を予定するデータアレグロのリブランド製品で対応する。