中国政府がパソコンへのフィルタリング・ソフト導入を義務づけたことについて,米連邦政府は正式に異議を示した。米国務省のIan Kelly報道官が米国時間2009年6月22日の記者会見で明らかにしたところによると,国務省のほか,米通商代表部,米商務省の当局者が,中国の北京で中国情報産業部と中国商務部の当局者に会い,懸念を伝えたという。

 中国政府は,7月1日以降に国内で出荷されるパソコンに,中国ベンダーのJinhui Computer System Engineeringが開発した「Green Dam」ソフトをプリインストールすることを求めている。ポルノ・コンテンツの遮断が目的だとしているが,セキュリティやインターネット上の自由などさまざまな点で問題視する声が挙がっており,米国情報技術工業協議会(ITI)をはじめとする業界団体が,中国政府に方針の見直しを迫る声明を6月9日に発表している(関連記事:米業界団体が中国政府に反発,PCのフィルタリング・ソフト導入義務づけで)。

 米政府は,Green Damソフトが貿易や情報の自由な流通に影響を与え,深刻な技術的問題を引き起こす可能性を懸念。未成年を有害サイトから保護するソフトウエアは複数の製品が市場に出回っており,ユーザーの選択肢はほかにもあるはずだとして,問題解決のための対話を持つよう中国政府に要求した。

[Kelly報道官の記者会見内容]