米IBMは米国時間2009年6月23日,環境に配慮した技術やソリューションの提供を目指す新しい業界団体「Green Sigma Coalition」の設立を発表した。併せて,同社はグリーン化に関連する複数のコラボレーションや製品などについても発表した。

 Green Sigma Coalitionは,エネルギーと水の使用量および炭酸ガスの排出量をより効率的に管理するソリューションの提供を目的としたもの。米Cisco Systemsや独SAPのほか,独SiemensのBuilding Technologies Division,仏Schneider Electric,米Johnson Controlsなどが創立メンバーとして参加する。メンバー企業は,顧客のグリーン化を支援するIBMのGreen Sigmaソリューションと自社製品の統合に取り組む。

 併せて発表した,スイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)とのコラボレーションでは,水冷式のスーパーコンピュータ「Aquasar」を共同で開発する。Aquasarは,同大学構内に設置され,2010年に運用が開始される予定。空冷式の同等のシステムを使った場合と比べて,電力消費量を最大40%低減できるほか,二酸化炭素排出量を最大85%(年間30トン)削減できるという。実験段階において,チップで発生した熱を建物の暖房装置に送って再利用している。

 グリーン化を支援する製品については,移動式の温度分布計測器の最新版「Mobile Measurement Technology(MMT)1.5」を発表した。新版では,温度分布を立体的に計測する機能に加え,熱効率の継続的かつ動的な監視機能を追加した。また,データセンターの電力消費量と発熱量を監視するソリューションの新版「IBM Tivoli Monitoring for Energy Management v6.2.1」を2009年6月末に発売するほか,同製品のデータをリアルタイムで可視化して,物理的なレイアウトや暖房/換気/空調(HVAC)などの最適化をサポートする新製品「IBM Maximo Asset Management for Energy Optimization」を同年8月14日に発売する。

 このほかにも,次世代電池の開発を推進する新しい長期的な研究プロジェクトを発表した。この次世代電池は,充電可能でリチウムイオン電池の10倍以上のエネルギーを蓄えられるもの。よりスマートなエネルギー・グリッドの実現や,電気自動車の普及促進を後押しする可能性があるという。

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