ID管理技術の相互運用性確保を目指す業界団体、カンターラ・イニシアティブは2009年6月23日、日本組織を発足した。同団体はOpenID、SAML、Information CardといったID管理技術の相互運用性を確保する目的で6月17日(米国時間)に設置された。日本の分科会は国内の活用事例の収集や国内の使い方に合致した仕様の提案、法制度に沿った運用ガイドラインの作成、日本語のホワイトペーパーの発行などを行う。

 国内分科会であるジャパン・ワークグループの議長に就任したNTT情報流通プラットフォーム研究所の高橋健司氏は「三つのID管理技術の相互運用性に問題があり、市場に混乱が生じている。カンターラ・イニシアティブは各技術のコミュニティの調和を図り、相互運用性を高める」と団体のミッションを説明した。

 相互運用性を高めることで、例えばSAMLのIDしか持たないユーザーが、OpenIDだけに対応したWebサービスにログインできるようになる。また、強固な認証基盤を持つSAML、シンプルでWebサービス事業者に普及しているOpenID、ユーザーインタフェースに優れたInformation Cardといった特徴を組み合わせた認証を可能にする。

 第一弾として「アイデンティティ・アシュアランス・フレームワーク」の仕様策定に取り組む。認証サーバーが持つ情報が正しいこと、正しい方法でユーザーを認証していること、Webサービス事業者が正しくIDを利用していることを監査する仕組みだ。「カンターラ・イニシアティブ内で草案を作成している。カンターラ・イニシアティブ自身が監査人になることも検討している」(高橋氏)。

 カンターラ・イニシアティブがかかわるのは草案の作成までで、実際の仕様策定は各ID管理技術の標準化団体で実施する。「できるだけ広い範囲で相互運用性を確保できるようにしたい」(理事会員に就任した野村総合研究所の崎村夏彦氏)としており、カンターラ・イニシアティブですりあわせの後、各技術の標準化団体で詳細を詰める形になりそうだ。

 なお、カンターラ・イニシアティブの発足に伴い、SAMLを推進していたリバティ・アライアンスとリバティ・アライアンスが主導していたオープンリバティ、コンコーディア・プロジェクトは解散。カンターラ・イニシアティブの一部門として吸収される。