米Gartnerは英国時間2009年6月22日，セキュリティ・ソフトウエア世界市場について調査した結果を発表した。それによると，2008年の売上高は135億ドルで，前年の113億ドルから18.6％増加した。アプライアンス・ベースの製品，とりわけ電子メール・セキュリティやセキュアWebゲートウエイなどの分野において需要が増加し，市場成長を押し上げたという。

　2009年は前年比成長率が9％程度まで減速する。景気不安や予算削減によって失速するものの，ソフトウエア・アズ・ア・サービス（SaaS）やホスティング・モデルによる製品提供，中小企業の関心の高まりにより，成長は維持する。

　Gartnerの主席リサーチ・アナリストであるRuggero Contu氏は，2008年のセキュリティ市場が世界不況の影響をほとんど受けなかったと分析する。同氏によれば，不況下にありながら2桁の成長率を達成したことは，CIOやITセキュリティ・リーダーにとって，セキュリティが引き続き重要な優先事項であることを示している。

　2008年のベンダー首位は米Symantec（シェア22％）で，以下， 米McAfee（同10.9％），米Trend Micro（同7％），米IBM（同5.1％），米EMC（同4％）と続いた。これら上位5社の合計シェアは，中小ベンダーの勢力拡大により，徐々に縮小している。Gartnerは，「セキュリティ市場は依然として，中小ベンダーや新規参入企業，専門特化型ベンダーが既存の大手ベンダーに対抗できるダイナミックな市場だ」と分析する。 

表■2008年のセキュリティ・ソフトウエア世界市場のベンダー別売上高
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ベンダー      2008年     2008年        2007年     2007年    成長率
              売上高   市場シェア      売上高   市場シェア
         （100万ドル）    （％）   （100万ドル）   （％）   （％）
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Symantec      2968.7       22.0       2768.5        24.4       7.2
McAfee        1475.7       10.9       1225.2        10.8      20.5
Trend Micro    938.5        7.0        809.2         7.1      16.0
IBM            693.0        5.1        607.9         5.4      14.0
EMC            537.6        4.0        494.9         4.4       8.6
その他        6866.0       50.9       5456.0        48.0      25.9
合計       1万3479.7      100.0    1万1361.3       100.0      18.6
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アプライアンスを含むすべてのソフトウエア区分が対象
出典：Gartner（2009年6月）

　地域別に見ると，最も急速に伸びたのは東欧で，成長率35％を記録した。中東とアフリカ，中南米，アジア太平洋地域も，30％前後の成長率を達成した。北米と西欧は，それぞれ46.4％と29.9％の市場シェアを誇っているが，ここ数年間は，新興地域の台頭により，シェアを縮小させている。

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