総務省は2009年6月22日,「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の第2回会合を開催し,Google社のストリートビューに代表される道路周辺映像サービスの違法性に関する検討結果を報告した。ここでは,個人情報保護法に違反していないか,プライバシーや肖像権を侵害していないかを検討した。報告では,個人情報保護法の義務規定の適用外であるため違反には当たらず,プライバシーや肖像権に関してもサービスを一律に停止すべき重大な侵害があるとは言えない,との考えを示した。

 個人情報保護法は,サービス事業者に同法の義務を適用する場合,事業者が「特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」を持っている必要があるとしている。簡単に言えば,個人情報が入った検索可能なデータベースを持っていることを指す。道路周辺映像サービスは,特定の住所から特定の個人を検索したり,個人名から住所を検索したりといったことはできない。そのため,個人情報保護法の適用外であるというのが報告書での見解である。

 個人情報そのものについても,道路周辺映像サービスで提供される情報は個人情報に当たらないという考えを示した。例えば道路周辺映像サービスで提供される情報として候補に上がるのは,住居の外観や自動車のナンバープレート,個人の容貌がある。住居の外観については,表札が読める状態など例外を除けば,誰の住居か特定できないものであるから個人情報に当たらないとしている。自動車のナンバープレートが映っている場合でも,所有者の個人情報を調べるには運輸支局へナンバープレートに表示されているすべての文字・数字を提示して,申請者の氏名や申請目的も明らかにする必要があるため,個人の特定は容易ではない。個人の容貌が映っている場合も,サービス事業者が顔にぼかしを入れるなどの措置を講じた上で公開している限り,個人識別性を欠いているため個人情報には該当しないとした。

 プライバシーに関しては,道路周辺映像サービスが社会的意義を持つこと,撮影が公共の場であること,公道からの撮影という問題の少ない撮影形態であること,さらにサービス事業者がカメラ位置に注意したり,私有地で撮影したりしないこと,人の顔やナンバープレートにぼかしを入れることなどの措置を取ることで,特定個人のプライバシー侵害が問題となる場面は限定的であるとした。ただしプライバシーの侵害となるかは映っている内容にもよるため,サービス事業者に一定の法的リスクが残ることも指摘した。

 肖像権については,公道上にいる人を映したものであり,顔を判別できない程度にぼかしを入れたり解像度を落としたりすれば,肖像権の侵害には当たらないとした。ただし,職務質問を受けている,風俗店に出入りしているなど公開されることを望まない場合もあるため,プライバシーと同様にサービス事業者に法的リスクがあることを記述している。防犯上のリスクに関しては,警察などで別途検討すべきとしている。

 報告書では,道路周辺映像サービスが一般に受け入れられるためには,法的な問題をクリアしただけでは不十分だとしている。具体的にはサービス事業者が,撮影を地域住民や自治体などに情報提供すること,本人から依頼があった場合に速やかに削除できる手続きを整備すること,サービス内容やプライバシー配慮の内容などの情報を周知することに取り組むべきだとしている。ただし自治体の関係者からは,「通知されてどう対処すればいいのか分からない」「インターネットにアクセスする環境のない人は,削除要請といった手続きを取る方法を知ることができない」といった声もあり,議論が続くことが予想される。