コンサルティング会社のビジネスブレイン太田昭和(BBS)は2009年6月22日、6月19日に提出した内部統制報告書で、重要な欠陥があり「財務報告に係る内部統制が有効でなかった」旨を報告したと発表した。オフィスサービスのダイオーズと製紙業の紀州製紙も6月22日に提出した内部統制報告書で、同様の主旨を公表している。

 BBSは重要な欠陥について「決算・財務報告プロセスにおける子会社の繰延資産の取り崩しの検討、および認識が不十分であり、当期繰延資産について修正を行った」ことが重要な欠陥に当たるとしている。BBSは「繰延資産に関する見解の相違に関する問題であるが、決算の過程において不備があり、敢えて自ら厳しく評価した」と重要な欠陥を公表した経緯を説明する。

 同社は内部統制の有効性の評価期日である期末日以降に、マニュアルや新たな業務フローを整備・運用したことで、重要な欠陥に当たる事項を是正。内部統制報告書を提出した6月19日時点では「内部統制は有効であると判断している」とする。

 ダイオーズは「コンピュータデータの保全手続きにおいて、運用・保守管理規定の運用が不十分であったため、会計データの一部が消失し、当期の財務諸表作成にあたって消失した会計データの修復作業を行うこととなった」ことを重要な欠陥に当たる事項として開示した。バックアップデータの復元作業のテストが十分でなく、消失のリスクを予見できなかったことが原因としている。

 ダイオーズは期末日後に取締役管理本部長直轄のプロジェクトを設置。同時にハードウエアの改修やデータのバックアップおよびリストアテストについて新たな業務フローを作成するといった施策で、報告書の提出日までにデータの保全手続きに関する内部統制は有効であると判断している。

 紀州製紙は「経理部門において、会計基準の理解が不十分であったために、連結決算処理における重要な処理誤りが財務諸表監査の過程で判明し、修正を行った」としている。紀州製紙は処理を誤った影響による決算の修正金額が3500万円を上回ったため、「重要な欠陥に該当する」とする。3500万円は、重要な欠陥の金額的な判断基準として同社が設定した金額である。同社は5月から、連結グループの決算業務を統括する経理部門において知識・経験にたけた人員を増員した。

 3社のほか6月22日には石垣食品が「全社的統制をはじめとする必要な評価範囲の内部統制の評価手続きを完了することができなかった」ことから、内部統制の評価結果を表明できなかったと公表した。監査を実施する東陽監査法人はこれを受けて、内部統制の有効性について判断しない「意見不表明」としている(関連記事)。

 6月22日現在で、内部統制報告書を提出した企業は251社ある。3月期決算の企業は6月末日が内部統制報告書の提出期限となっている。