地域WiMAX推進協議会は2009年6月17日,「地域WiMAX推進協議会シンポジウム 第2回」を開催した。地域WiMAX関係者が一堂に会して,地域WiMAXサービスを提供するケーブルテレビ事業者による現状説明や,推進協議会の分科会で検討された地域WiMAXの技術ロードマップ案やビジネスモデル案が報告された。

 地域WiMAXサービスの提供会社として登壇したのは福井県敦賀市でケーブルテレビ事業を手がける嶺南ケーブルネットワークと,愛媛県新居浜市・西条市で手がけるハートネットワークである。嶺南ケーブルネットワークの西野幸二氏は,地域WiMAXを使った防災システムの適用例を紹介した。嶺南ケーブルネットワークがケーブルテレビ・サービスを提供している福井県敦賀市は,原子力発電所が存在する。嶺南ケーブルネットワークは原子力発電所の半径10kmに基地局13局を設置し,原子力発電所の事故など有事の際に地域WiMAXを使って防災放送ができるようにしているという。

 一方ハートネットワークの大橋弘明氏は,2009年4月から開始した同社の地域WiMAXサービスについて,「かなり手応えを感じている」と語った。具体的には半年でユーザー数300を目標に設定したところ,2カ月で目標数300を超え500に迫る勢いだという。「ユーザー数の増加も嬉しいが,そのうち約半数がケーブルテレビなどのサービスを利用していない新規のユーザーだった。この新規ユーザーにケーブルテレビ・サービスや有線インターネット・サービスを使ってもらえないか働きかけていく」(大橋氏)。

 玉島テレビ放送の金辺重彦氏は,地域WiMAX事業者のビジネスモデル案を報告した。金辺氏によると,4ステップからなる地域WiMAX事業者のビジネスモデルを報告した。ステップ1はカバーエリアを拡大しながら,通信モジュールをUQコミュニケーションズが販売する市販品と共用できるようにする。ステップ2は,認証をMAC認証からIDとパスワードを使うユーザー認証に変更する。ステップ3は地域WiMAX事業者間で共有システムを構築し,地域WiMAX間でのローミングを実現する。最後のステップ4はUQコミュニケーションズとのローミングを掲げた。ただしステップ4はオプションだという。UQコミュニケーションズとのローミングは,ローミングのためのシステム構築費用や接続卸し料金がかかるので,価格競争力がないのではという意見が出ているためである。