Seasar Conference 2009 Spring
Seasar Conference 2009 Spring
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 「Seasarを採用して早く帰れるようになった」,「開発が楽しくなった」---2009年6月13日に開催したSeasar Conference 2009 Spring(関連記事)で,7社が大規模金融システムや携帯電話向けサイトなどにSeasar2および関連ソフトウエアを採用した事例を発表した。

Seasar公式サイトのPVは月121万

 Seasar2はひがやすを氏が中心になって開発しているオープンソースのJavaフレームワーク。Seasar2およびその関連オープンソース・ソフトウエアが数十人の技術者によって開発されており,NPO法人であるSeasar Foundationがそれらの開発と普及を支援している。

 現在,Seasar2のダウンロード数は,毎月平均約1000件。これに加えて開発支援ツールであるMavenとDolteng経由のダウンロードも行われている。Seasar ProjectのWebサイトには月間約121万のPVがあり,ユーザー・メーリング・リストには約5000名が参加している。

「金融の基幹システムに適用,1000人月のシステムも」,ISID

電通国際情報サービスのSeasar2適用事例
電通国際情報サービスのSeasar2適用事例
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 電通国際情報サービス(ISID)の渥美俊英氏は,同社でのSeasar2採用事例を紹介した。電通国際情報サービスはひが氏の勤務先。ひが氏は最初個人で勤務時間外にSeasarを開発していたが,2005年に電通国際情報サービスはSeasar2を正式に採用し,ひが氏は現在業務としてSeasar2の開発と有償サポート・サービスを手がけている。

 同社では2005年,Seasar2を顧客向け会計システムに始めて適用。これまでに三菱東京UFJ銀行のリスク管理システム(関連記事),会計分野のシステム,債権管理システム,金融商品管理システム,インターネット・バンキング・システム,流動性管理パッケージ,そして社内業務システムに適用してきた。「いずれも数百人月,外注数社,オフショア開発もある大規模案件。中でも大きいものは開発に2年弱を要した1000人月のシステムで,10年間の利用を前提としたもの」(渥美氏)。

「技術の流れが逆転,革新はOSSから生まれる」,ISID渥美氏

電通国際情報サービス 渥美俊英氏
電通国際情報サービス 渥美俊英氏
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 渥美氏は「かつてはJava Committee Processが仕様を策定し,それをベンダーが製品化していた。しかし現在,新しい技術はまずオープンソース・ソフトウエアとして実装され,実際に利用されて素早く進化する中で生まれる」と,Java世界での技術の流れが逆転し,イノベーションはオープンソース・ソフトウエアから生まれるようになったと指摘した。

「Flash利用の資金管理システムに適用」,ISID公文氏

流動性管理システムの構成
流動性管理システムの構成
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流動性管理システムのFlashクライアント画面
流動性管理システムのFlashクライアント画面
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 電通国際情報サービスの公文和也氏は,同社でのSeasar2適用事例の中から流動性管理システムRTGS(Real-Time Gross Settlement)を詳しく解説した。このシステムは,金融機関の資金および国際を日銀ネット経由でリアルタイムに決済するもの。S2Flexも採用しクライアントはFlashベースである。オープンソースの帳票ツールであるJasperReportも利用している。金融機関向けの基幹システムであり,ウォータフォール型の開発が行われた。公文氏は「Seasarは成熟してきており,基幹システムで採用しやすくなった」と話す。

 公文氏が現在携わっているプロジェクトでは,Springを採用している。公文氏は「確かにSpringではSeasar2に比べ設定ファイルが多くなる。ただしSpringでも,プロジェクトの基盤チームが頑張れば,全体の開発工数には影響しない」と,両DIコンテナを利用した上での評価を述べた。