米Frost&Sullivanはシンガポールで,現地時間2009年6月12日,アジア太平洋地域のネットワーク・セキュリティ市場に関する調査結果を発表した。それによると,2009年の売上規模の対前年成長率は6.5%にとどまる見通し。2008年の同市場の売上げ規模は,前年比17.9%増の18億1000万ドルだった。しかし,2009年から2015年にかけては年平均成長率(CAGR)7.5%で拡大し,2015年末には約30億ドルの売上規模になる見込みという。

 Frost&Sullivanのインダストリ・マネージャArun Chandrasekaran氏は,「景気の先行きが不安なために企業が支出に慎重になっているのは事実だが,ネットワーク・セキュリティへの投資を重視するという企業の姿勢に変わりはない」と述べる。同氏によると,大半の企業は,ITのセキュリティに対する投資を縮小することによるコスト削減効果よりも,十分なセキュリティを実装しないリスクの方が遙かに重大だと認識しているという。

 2008年は,中国とインド,さらにベトナムやインドネシアといったASEAN諸国などの新興国市場が軒並み前年比20%以上成長して,世界市場をけん引した。分野別にみると,依然としてファイアウォールとIPSec-VPNの需要が大きく,市場全体の74.6%にあたる13億4000万ドルを占めた。この傾向は2015年末まで続くと同社は予測する。

 また,中小企業(SMB)向けが2008年の全売上高に占める割合は,約3分の1だった。Chandrasekaran氏によると,ネットワーク・セキュリティ導入コストの低減などにより,SMBの割合は2015年までに約45%まで拡大する見通しだ。

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