米Rambusと欧州連合(EU)の独禁法当局である欧州委員会(EC)は,係争中のメモリー標準策定作業に関する訴訟について,暫定的な和解に達した。RambusとECは,現地時間の2009年6月11日に,米国およびベルギーでそれぞれ発表した。

 RambusがDRAM製品のライセンス料に上限を設けることなどを条件に,ECは訴えを取り下げ,制裁金を科さないとしている。ECはこの和解条件に対する利害関係者からのコメントを検討し,最終的な判断を下す。

 Rambusは,DDR2/DDR3/GDDR3/GDDR4方式SDRAMについてのライセンス料を最大1.5%に抑えるという条件を提示した。また,古いSDR/DDR方式DRAMの出荷量が全DRAM製品の10%未満であるメーカーに対しては,ライセンス適用の免除期間を設ける。

 SDR対応メモリー・コントローラについては,1個当たり最大1.5%というライセンス料は2010年4月までで,その後は最大1.0%に引き下げる。DDR/DDR2/DDR3/GDDR3/GDDR4対応メモリー・コントローラについても,1個当たり最大2.65%のライセンス料は2010年4月までで,その後は最大2.0%に引き下げる。契約期間はいずれも5年間。

 この係争は,ECが2007年7月30日にRambusへ「メモリー規格の標準化作業中に詐欺的行為を働いた」とする異議声明(Statement of Objections)を送ったことが発端。ECは「Rambusが標準技術に関係する既存特許の情報を開示しない,『特許による待ち伏せ(patent ambush)』を図り,標準確定後に法外なライセンス料を要求した」と主張している(関連記事:EC,Rambusの“特許による待ち伏せ”を指摘する異議声明を送付)。

 米連邦取引委員会(FTC)も同様の理由でRambusを提訴していたが,米最高裁判所に上訴を退けられて訴えをすべて取り下げている(関連記事:FTCが対Rambus訴訟をすべて取り下げ,長年の係争に終止符)。

[発表資料(Rambus)]
[発表資料(EC)]