写真●オープンIPTVフォーラム運営グループのユンチャオ・フー議長
写真●オープンIPTVフォーラム運営グループのユンチャオ・フー議長
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 幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されている「Interop Media Convergence Tokyo 2009」(IMC TOKYO 2009)で2009年6月12日,オープンIPTVフォーラム運営グループのユンチャオ・フー議長(写真)が基調講演に登壇,フォーラムの最新の取り組みについて解説した。

 オープンIPTVフォーラムは,相互運用可能なエンド・ツー・エンドのIPTVソリューションを実現するために,2007年3月に発足した(関連記事)。分野ごとに分断されたIPTVの標準化を結合し,「ユーザーが好みのデバイスを購入しても,それぞれのIPTVサービスを利用できるような相互運用性を目指している」(フー議長)。米AT&Tとスウェーデンのエリクソン,仏フランステレコム,松下電器産業(現在の社名はパナソニック),蘭フィリップス,韓国サムスン電子など9社が立ち上げたが,現在では加入メンバーは55社に拡大しているという。

 フォーラムでは,NGN(次世代ネットワーク)のようなマネージド・ネットワークと,オープン・インターネットの両者を対象として仕様を策定している。最初の仕様となるリリース1は,アーキテクチャの策定と詳細な技術仕様を記述したソリューション・スペシフィケーションの策定が2009年1月に完了した。

 リリース1の具体的な内容としては,主に編成されたIPTV番組の視聴やPVR(personal video recorder)機能,番組を視聴しながらのメッセージ機能やプレゼンス機能などが含まれている。「現在,相互運用性を確保するために何を義務化して,オプションとするのか議論を進めている。これを固めたうえで,2009年末から2010年はじめにかけて,相互運用性の試験(プラグフェスト)や認証プログラムを開始したい」(フー議長)。

 リリース1の作業と並行して,リリース2の作業も進めているという。リリース2では,「さらにパーソナル化の機能を拡充する」(フー議長)。例えば,ユーザー個人の嗜好に沿ったパーソナル化されたチャンネルの実現や,モバイル機器経由のPVRコントロール機能などが含まれる予定。リリース2の要求条件は既に作業を終了し,来週開催する会合でアーキテクチャを承認予定。ソリューション・スペシフィケーションの策定も入るという。

 最後にフー議長は,日本のIPTV仕様とも一層の協調を図っていきたいと語った。日本国内のIPTVの仕様は,オープンIPTVフォーラムの仕様ではなく,国内の通信事業者や放送局,家電メーカーが共同で立ち上げた「IPTVフォーラム」が策定した仕様に準拠している(関連記事)。フー議長は「両団体とも相互運用性を目指す方向には変わりはない。二つの団体でメンバーが重なっている面もある。メンバーを通して,両団体の調和を図り関係性を拡大していきたい」という考えを示した。

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