写真1●ソフトバンクモバイルの孫正義社長(左)とNTTドコモの山田隆持社長(右)
写真1●ソフトバンクモバイルの孫正義社長(左)とNTTドコモの山田隆持社長(右)
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●イー・モバイルのエリック・ガン社長兼COO(左)とKDDIの小野寺正社長兼会長(右)
写真2●イー・モバイルのエリック・ガン社長兼COO(左)とKDDIの小野寺正社長兼会長(右)
[画像のクリックで拡大表示]

 携帯電話事業者4グループの3.9G参入決定を受け(関連記事),2009年6月10日,総務大臣から各社へ免許の認定式が行われた。NTTドコモの山田隆持社長,ソフトバンクモバイルの孫正義社長(写真1),KDDIの小野寺正社長兼会長,イー・モバイルのエリック・ガン社長兼COO(写真2)は,認定式後にそろって報道関係者の囲み取材に応じた。

 4グループへの周波数追加割り当てで一件落着しただけに,終始なごやかなムードで各社トップが質問に答えた。主なコメントは以下の通り。

3.9Gの開設計画の認定を受けた感想は。

ソフトバンクモバイル孫社長 3.9Gによって新しいモバイル・インターネットの時代がやって来るのを楽しみにしている。

NTTドコモのLTEの導入時期は,世界的に見ても速いのでは。

NTTドコモ山田社長 LTEは2010年12月にサービスを開始する。トップかどうかは分からないが,世界の先頭集団になると思う。

総務省に申請した3.9Gの開設計画を見ると[発表資料(PDF)],2014年度末までの各社の設備投資額は,NTTドコモが3430億円,KDDIおよび沖縄セルラー電話が5150億円,ソフトバンクモバイルが2073億円,イー・モバイルが644億円と各社でバラツキがある。内訳は。

ソフトバンクモバイル孫社長 ネットワーク設備が中心だ。

KDDIの小野寺社長 当社の投資額が最も多い理由は,他社と比べて局数も多く(2014年度末までに2万9361万局で,4社の中で最多),人口カバー率も高く設定しているからだろう(2014年度末までに96.5%と,4社の中で最も高い数値)。

 一つの理由として,KDDIは現在,他社と比べてスペック上のデータ通信の速度が遅く,ここを何とかしたいという気持ちがあった。

各社ともに3.9Gの加入者の目標を出している。2014年度末までに,NTTドコモが1774万,KDDIが984万,ソフトバンクモバイルが541万,イー・モバイルが295万と,現在の加入数のおおむね3割程度を見込んでいる。この割合は今後上がっていくと見ているのか。それとも3.9Gの利用は一定のユーザー層の利用にとどまると考えているのか。

NTTドコモ山田社長 ユーザーの需要を見ながらエリアを拡大する計画のため,3割程度の利用見込みとなっている。(エリアを拡大することで)ユーザーの割合は伸びていくと考えている。

ソフトバンクモバイル孫社長 基本的に技術は次の世代へと移行していくので,ユーザーの割合は30%にとどまらず,50%,80%と増えていくだろう。ただし,やってみないと分からない面もある。

KDDI小野寺社長 当社は,最初からエリアをある程度広げてLTEを導入しようと考えている。LTEの端末コストの問題さえクリアできれば,LTEの普及率は十分上がると思っている。

消費者として気になるのは料金。3.9Gサービスは月額どの程度になるのか。

KDDI小野寺社長 まだ検討していない。

NTTドコモ山田社長 検討はこれから。2010年以降の開始なので,どの会社もそうだろう。

3.9Gのサービス像は。

NTTドコモ山田社長 高速インターネットや動画などがある。低遅延という特徴を生かして,端末とネットワークのコラボレーション・サービスも検討したい。

ソフトバンクモバイル孫社長 スピードが速くなることによって,音楽や動画,インターネットなどあらゆる分野で,よりリッチなコンテンツが楽しめるようになる。

3.9Gサービスの開始当初はデータ通信端末からスタートするのか。

ソフトバンクモバイル孫社長 当初はデータ通信端末がメインだと思うが,最終的には音声端末にも対応させる。

KDDI小野寺社長 当社は最初から携帯電話型の端末を出そうと考えている。

3.9Gでは全社が最終的にLTEの導入を計画し,第3世代の時のように方式が分かれず,統一される結果になった。

KDDI小野寺社長 ユーザーからすると,今でも方式の違いはほとんど意識していないのではないか。むしろ,その上でどんなサービスを展開するのか。そのサービスがユーザーに受け入れられるのかどうかがポイントになっている。

方式が統一されたことで,いわゆるSIMロック解除の話も出てくるのではないか。

KDDI小野寺社長 LTEを導入したとしても,音声は各社共に2G,3Gの仕組みをそのまま使うだろう。そうなれば賛成反対の問題ではなく,SIMロック解除の条件は今となんら変わらず難しいままだ。この点を多くの人が誤解をしている。

イー・モバイルのエリック・ガン社長 当社は(データカード中心と)他社とはビジネスモデルが異なり,SIMロックを入れていない。LTEの導入によって,海外でのデータ通信ローミングがしやすくなるような効果に期待している。