写真1●オープンステージで講演する慶應義塾大学の中村教授
写真1●オープンステージで講演する慶應義塾大学の中村教授
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写真2●ブースで展示中の「ケーブルインターネット向けテストベッド」
写真2●ブースで展示中の「ケーブルインターネット向けテストベッド」
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 IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースは,千葉市美浜区の幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2009」でIPアドレス枯渇対策やIPv6移行に関するブース展示とオープンステージを実施している。オープンステージは,展示会初日の2009年6月10日から最終日の12日まで1日当たり10~11のトラック(20分単位のセミナー)が設けられている。

 オープンステージの最初のトラックでは,慶應義塾大学環境情報学部の中村修教授が「Count Down to the 2011」と題して,IPv4アドレス枯渇やIPv6移行についての考え方を講演した(写真1)。同教授は,インターネット・ビジネスが現在の規模になった要因として,80年代にインターネットのオペレーション経験してそのテクノロジを持っていた人がいたこと,アイデアを出した人がいたこと,運用するエンジニアがいたことを挙げた。対して今後新しいビジネスを始める際のことを考えると,IPv4アドレスが足りないのでIPv6で展開しようとしても対応していないネットワーク機器があることや,IPv6を運用できる人が少ないことを問題として指摘した。

 そのうえで中村教授は,IPv4アドレス枯渇問題は大きなビジネス・チャンスだと主張。既にIPv6対応を進めているサービスや組織の例を挙げ,「IPv6に移行せず今の環境を使い続けることもできるが,新しいビジネスをしたい,これからのエンジニアとして生きたい,今後のマーケットで勝っていきたいと考えるならば,IPv6はチャンスだ。それは既に始まっており,皆さんには乗り遅れてほしくない。このタイミングでIPv6を真剣に考えていただきたい」と結んだ。

 枯渇対応タスクフォースのブースでは,IPv4アドレス枯渇対策やIPv6移行に関連したシステムが展示されている(写真2)。例えば,枯渇対応タスクフォースは,通信事業者の技術検証などが可能な「ケーブルインターネット向けテストベッド」を初出展した。OKIはIPv4とIPv6のトランスレーションやNAT(network address translation),プロトコルの差分吸収,品質監視などができる網間ゲートウエイ装置「NX4300」を展示中。展示会に出したのは初めてという。このほか,IPv4環境でIPv6のWebサイトを閲覧したりできる6to4技術を提供する「Tokyo6to4プロジェクト」が6to4を使うコツを解説するコーナーなどが出ている。