グーグルは2009年6月9日,同社のプライベート・イベント「Google Developer Day 2009」においてコミュニケーション・プラットフォーム「Google Wave」プレビュー版を国内開発者に向け披露した。Google Waveのコラボレーション・サービスとしての側面に加えて,策定中のWeb技術標準「HTML 5」を基盤とするWebアプリの実行環境としての側面を強調した。
Google Waveには二つの側面がある。ユーザーから見たときのコラボレーション製品としての側面と,プッシュ/プルの双方向通信とストレージの両機能を備えるようになるHTML 5時代のWebブラウザによる次世代Webアプリケーション・プラットフォームとしての側面だ。
コラボレーション製品として見たときのGoogle Waveのコンセプトは「異なるコミュニケーション手段,異なるWebサイトでのイベントなどを統合する」(Google Wave APIテックリードのDouwe Osinga氏)というシンプルなもの(写真1)。「議事録一つとっても,メールで残すのか文書に仕立てるのか,といった意思決定を迫られる場面は多い。そうしたことに悩むことなく,色々なアイデアをできるかぎり自然な形で残すのがGoogle Wave」(Google WaveプロダクトマネージャーのGregory Dalesandre氏)だという。メールやインスタント・メッセンジャ,チャット,ブログ,さらにはマイクロブログと目的に応じてツールを使い分けるのをやめ,Google Waveでは「Wavelet」という参加者とドキュメント群の組の集合である「Wave」を軸とするドキュメント指向のアプローチを採る(写真2)。
コミュニケーションの過程と結果が一つのWaveドキュメントにまとまっているため,編集履歴を記録・再生する「プレイバック」と呼ぶ機能により第三者が追体験できるのも特徴だ(写真3)。プレビュー版では「すべての操作を記録できる粒度を意識した設計にしている。ただどの粒度で履歴を残すのがベストなのかは模索している段階」(Google Wave ArchitectureテックリードのDavid Wang氏)という。
認証機能は,Googleアカウントのログイン・ユーザー,Waveサーバーに参加しているユーザーという程度の大ざっぱなもの。Googleアカウントに限らず「そのうちオープンな技術をサポートを考えている」(Gregory Dalesandre氏)とする。