情報通信審議会の「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」は2009年6月9日,第18回会合を開催した。この日の会合では,6月1日にまとまった「取りまとめの方向性」(案,こちら)について関係者からのヒアリングが開催された。

 既にこの案を評価するというコメント(こちら)を発表している日本民間放送連盟の関係者は今日のヒアリングでも,基本的には評価するという考え方を改めて示した。懸念事項として,ソフト業務の認定制について,「放送内容に対する行政の関与が強まるという懸念や不安が加盟社にあり,法制化や制度の運用に当たって留意してほしい」と説明した。また,要望事項としては,コンテンツ規律の大括り化の対象を放送関連4法に絞ったこともあり,改めて「法令上の放送という名称を残してほしい」とした。

 このほか,ケーブルテレビ再送信における裁定制度の関連で浮上している電気通信事業紛争処理委員会については,内容次第として態度を保留した。また,放送関連4法案の集約・大括り化の中で,既存BS事業者の事業形態などに変更を強いることのないように要望した。

 今回のヒアリングで議論が集中したのは,ショッピング番組の扱いである。取りまとめ案の中には,「放送番組ごとに種別を明らかにすること,種別の放送時間および分類に関する基本的な考え方の公表を求める制度の導入」を行うこと,「ショッピング番組の扱いも検討を進め,公表を求める制度について必要な対応を図る」などと記載されている。

 これに対し民放連は,放送の自主自立の原則の下,番組種別などの公表を自主的に行うことを検討すると表明した。合わせて,「既に民放連の中にWGを発足させ,どういう位置づけになるのか,など検討している」と報告するとともに「タイム広告やスポット広告とは位置づけが異なる」という考え方や,現状としては「生活情報番組として分類しようと考えていること」などを説明した。

 こうした民放連の説明に対し検討委員会の委員からは,「タイム広告やスポット広告とは位置づけが異なる」といった説明には一定の理解を示す声が聞こえたが,「分類の区分けが生活情報番組」という考えについては異論が続出した。「第五十一条の二(一般放送事業者は,対価を得て広告放送を行う場合には,その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならない)は,視聴者から見て,情報番組なのか広告番組なのかハッキリさせるという趣旨。それにも関わらず,生活情報番組という分類しようというのは残念でならない」などという意見である。民放連の出席者は,「単に分類をどうするか,だけではない重要な課題であり,ここでの意見も参考にさらに検討する」とした。