写真●日立製作所 執行役専務,情報通信グループ長&CEOの中島純三氏
写真●日立製作所 執行役専務,情報通信グループ長&CEOの中島純三氏
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 日立製作所は2009年6月8日,情報・通信分野の経営方針の説明会を開催した。
 
 2009年度の売上高と営業利益は,経済危機の影響でそれぞれ1兆8370億円と920億円(営業利益率5%)となり,当初の目標だった2兆円超,営業利益率7%を大きく下回る見込みである。「2011年には売上高2兆円,営業利益率7%の水準に早期に回復させる」(日立製作所 執行役専務,情報通信グループ長&CEOの中島純三氏)とした(写真)。

 2011年でのV字回復を目指すシナリオとして同氏が挙げたのが,「高付加価値事業の拡大」,「グローバル事業の拡大」,「経営・事業基盤の強化」,「社会イノベーション事業への傾注」である。「高付加価値事業の拡大」では,コンサルティングやアウトソーシング・サービス,データセンター事業などを強化し,プロダクト単体ではなく,ソリューション提供を加速していくとする。

 「グローバル事業の拡大」では,ストレージ・ソリューション事業を核として,事業領域を拡大していくほか,北米,アジア,欧州といった地域ごとにサービスを提供する体制を強化する。中国やインドといった拠点は現地への販売の拠点だけでなく,グローバル・ソーシング拠点と位置付け,日系,欧米系の企業のシステム管理コスト削減ニーズに応じたサービスも,ここで提供する。

 「経営・事業基盤の強化」では,人件費や研究費は維持する一方,成長余力の少ない分野から成長余力の大きい分野にシフトさせ,生産性を向上させることでV字回復を狙う。具体的には,地域市場のサポート・サービス事業強化のために,2009年4月に地域ソリューション会社3社を日立電子サービスの子会社にする,次世代ネットワークに関する提案力とシステム構築力を強化するため,同7月に日立コミュニケーションテクノロジーを日立製作所に吸収合併するといった措置をとった。

 最後の「社会イノベーション事業への傾注」では,自社製品全体でグリーン化に取り組むほか,米国で盛り上がりを見せるスマートグリッドや交通システムの高度化に力を入れるという。