Edgar F. Codd Innovations Awardを受賞した喜連川優氏
Edgar F. Codd Innovations Awardを受賞した喜連川優氏

 米ACM(コンピュータ学会)のSIGMOD(データ・マネジメント研究会)は2009年6月6日(現地時間),2009年のEdgar F. Codd Innovations Award(Codd革新賞)に東京大学生産技術研究所の喜連川優教授を選出したと発表した。同賞はリレーショナル・データベースの概念を考案したCodd氏の名を冠した賞で,日本人としては初めての受賞となる。

 喜連川氏は大規模データ処理を専門としており,文部科学省の「情報爆発」プロジェクト代表や,経済産業省の「情報大航海」プロジェクト戦略会議委員長を務める。

 Codd革新賞受賞の対象となった業績は,高性能データベース技術への貢献である。具体的にはハッシュ-ジョイン・アルゴリズムの開発への貢献など。またハッシュ・ベースのアルゴリズムに基づいた共有メモリー・アーキテクチャによるファンクショナル・ディスク・システムを開発。1990年代には100ノードのPCによるハッシュ・アルゴリズム・ベースの並列データ・マイニング・システムも開発している。喜連川氏の研究成果は製品化もされており,2000年にDatamationソート・ベンチマークで勝者となっている。

 Codd革新賞のこれまでの受賞者には,トランザクションに関する研究でチューリング賞も受賞しているJim Gray氏,オブジェクトリレーショナルDBMSの概念を提唱しPostgreSQLの前身であるpostgresを開発したMichael Stonebraker氏などがいる。

発表資料