デジタルサイネージ(電子看板)の標準化団体であるデジタルサイネージコンソーシアムは2009年6月8日、デジタルサイネージの視聴率を測定する広告指標を策定したと発表した。「AICCITE(アイシテ)」と呼ぶ指標で、今秋をメドに都内で行う実証実験から実験的に導入する。テレビなど他媒体の視聴率とも比較できるように、1年後には数値化するための基準も確定する方針だ。

 AICCITEは「Attitude」「Information」「Contents」「Circulation」「Timing」「Emotion」の頭文字を組み合わせたもの。デジタルサイネージの効果は、街頭の通行者や車内の乗客の視聴状態や、携帯電話のような他媒体への誘導状況などを把握しなければならないため、既存の広告指標では実態に則した視聴率を測定することが難しいとされる。そのため、新たな業界標準の広告指標が必要だと判断し、6つのカテゴリをポイント換算した総数からなる指標を作り出した。

 1年後には、マルチメディアで広告展開する企業の広告担当者などが、他媒体と比較して広告を企画、出稿、効果測定できるように数値化する基準も決める。これにより、企業はデジタルサイネージへ広告出稿がしやすくなり、広告市場全体の底上げにもつながると期待する。

 今秋に実施する予定の秋葉原と六本木の実証実験から導入し、AICCITEの理論を検証するとともに、課題点を洗い出して精度を高める。

 実証実験と並行して、国内のデジタルサイネージ設置場所のデータベース化にも着手。「デジタルフォトフレーム」など新たな個人所有のディスプレイをデジタルサイネージと見立てたビジネスモデル構築の研究も行う。

 デジタルサイネージコンソーシアムは、家電メーカーや広告代理店、通信事業者などが中心となって2007年6月設立。主に技術、広告指標、権利処理、倫理基準の標準化を目指した活動を行う。同団体はこれら標準化推進などで市場が活性化することで、2015年にデジタルサイネージは1兆円市場になると試算している。