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 2009年6月6日,都内で「勉強会カンファレンス2009」が開催された。IT関連の勉強会を企画,運営するノウハウなどを共有し,主催者のネットワークを築くことで「勉強会の価値を高め,その価値を広く知ってもらう」(カーネル読書会の吉岡弘隆氏)ことを狙いとしたイベントだ。勉強会をテーマにした大規模なイベントが開かれるのはこれが初めて。カンファレンスには約100人が参加,うち6~7割が勉強会の主催者という。

「膨大な数の勉強会が日本で開かれている」

 日本では,多くのIT関連勉強会が開催されている。IT関連の勉強会やイベントを集めたIT勉強会カレンダーを見ると,連日数件,週末になれば十数件のイベントが登録されている。「IT勉強会カレンダーで,これだけ数の勉強会が開かれていることが“見える化”された。ある意味世界が変わった。それが勉強会カンファレンス開催のひとつのきっかけになった」(吉岡氏)。

 また,Ustreamなどのサービスによって,少人数の勉強会でも全国に向けてその模様をリアルタイムに動画で配信できるようになった。勉強会の影響力は大きく拡大し,運営のノウハウも変わってきていると吉岡氏は言う。

勉強会のノウハウを共有

 勉強会チュートリアルと題したセッションでは,PHP懇親会の鈴木達文(LIND)氏や,高専カンファレンスの五十嵐邦明(いがいが)氏,セキュリティ勉強会「まっちゃ139」の八尾崇(まっちゃだいふく)氏,志茂博(芸人社長)氏,IT勉強会カレンダーを運営しているやまぐちあゆみ(はなずきん)氏らが,勉強会開催のノウハウを発表した。

 鈴木氏はPHP懇親会での,居酒屋やカラオケボックスにプロジェクタを持ち込み発表する方法を報告。五十嵐氏は,同氏が開発した,勉強会の際にIRCで行われているチャットを画面に表示できるタイマー・アプリケーションTwYM(Timer with Your Message)を紹介した。八尾氏は,休憩時にお菓子を出して会を盛り上げる「まっちゃだいふくメソッド」を解説した。お笑い勉強会を主催する志茂氏は「笑い」で会を盛り上げるためのノウハウを紹介。やまぐち氏は, 宴会くん, ATND, 告知's, Cotocoto, FLY8, アンケートツクレール, Google Formといった,勉強会に便利な無料Webサービスを紹介した。

社内勉強会のメリット

 また社内勉強会をテーマにしたセッションでは,GenesisLightnigTalksのさとうようぞう氏,DevLOVE2008のpapanda氏,ebacky氏,kwappa氏,吉田茂氏らが体験談を報告。

 kwappa氏は「勉強する習慣がつく,チーム力がアップする,部下や同僚の意外な能力を発見できる」と社内勉強会を開催したことで得られたという。吉田茂は,社内勉強会を上司に提案したところ,部長から「面白いと思ったことをやれ。会社にペイするかどうかは考えるな」,次長から「若い頃にこんな勉強会があればよかった」と好意的な反応が得られたと報告。ebacky氏は「上司が社外の人を自社に呼ぶリスクを心配し,説得に苦労した。けれども実は,管理者は若い人の提案を待っている」と体験談を披露した。papanda氏は「社内勉強会をオープンソース化」して,社外の参加者も含めた勉強会DevLOVEへと発展させていった経験を話した。

 「Wikiばな」の,しばむらしのぶ(shino)氏は,「勉強会と行政」と題して,勉強会に公共施設を活用する方法や,情報収集方法などについて報告した。会場からも日本電子専門学校の学生が「日本電子専門学校は,オープンソース・カンファレンスに会場を提供,学生も運営に関わっている」と報告,桐蔭横浜大学の山口大輔氏が「勉強会について」と題した特別講演を6月8日に行うことを紹介するなど,参加者からも発言が相次いだ。

◎関連リンク
勉強会カンファレンス2009の発表資料
勉強会カンファレンス2009の講演動画