写真1●「スクールニューディール構想」について説明する文科省の布村 幸彦文教施設企画部長
写真1●「スクールニューディール構想」について説明する文科省の布村 幸彦文教施設企画部長
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●スクールニューディール構想の3つの重点項目
写真2●スクールニューディール構想の3つの重点項目
[画像のクリックで拡大表示]

 「公立学校の地上デジタルテレビと校内LANは、今回の補正予算で一気に100%の整備状況にもっていきたい」。6月4日~6日に東京ファッションタウン(TFT)で開催されている教育関係者向けイベント「New Education Expo 2009」(主催:New Education Expo実行委員会)の基調講演で、文部科学省大臣官房文教施設企画部長の布村 幸彦氏はこう語った。経済危機対策として2009年度補正予算に組み込まれた「スクールニューディール構想」について説明する中でのコメントである。

 スクールニューディール構想は、「21世紀の学校にふさわしい教育環境の抜本的充実」を目指すもとのして、総額1兆1181億円の予算がついた。大きな柱は3本で、(1)校舎の耐震化の早期推進、(2)太陽光パネル採用をはじめとしたエコ化、(3)教育現場におけるICT環境の整備---が掲げられている。「学習指導要領の改定などのソフト面に比べて、施設や設備といったハード面の充実についての施策はあまり考えられてこなかった。スクールニューディール構想で、重点的にハードの整備を進めてほしい」(布村氏)という。

 布村氏は一方で、この予算の経済危機対策という側面にも言及し、「耐震化、エコ化、ICT化を、地域経済の活性化につなげることも一つの目的である。できるだけスムーズに交付金などを使ってもらいたい」と、経済対策として早期に効果が表れることへの期待を示した。

 スクールニューディール構想のICT環境整備の分野には、国庫補助分と地方向け臨時交付金を合わせて2067億円の予算を確保した。ハードウエアの導入面では大きく2つの事業を推進する。

 1つは地上デジタルテレビなどの整備で、公立の小・中・高等学校など約6万カ所に44万台の地上デジタルテレビを導入する。現在、地上デジタルテレビの導入は「1%程度でしかないが、これを一気に100%に引き上げる」(布村氏)。デジタル化によりさまざまな機器と連携が可能になり、教育の質の向上が見込める。また、電子黒板を各校に1台導入することも構想に含まれている。

 もう1つは、コンピュータの整備などにかかわるもの。児童・生徒が使う教育用コンピュータを約169万台、教師などが使う校務用コンピュータを約26万台、それぞれ導入する計画だ。小学校で必修化される英語教材なども含めて、デジタルコンテンツを充実させることで、コンピュータを使った教育を推進していく。併せて、現在60%を超えた程度の校内LAN整備率も100%に引き上げる。「校内LANからインターネットを介して、他校と交流するような授業も可能になる。スクールニューディール構想の施策を通して、次世代のデジタル世界を担う子どもたちに向けたICTインフラの整備を進めたい」(布村氏)と語った。