日本HPの松本芳武執行役員ESSトランスフォーメーション担当統括本部長
日本HPの松本芳武執行役員ESSトランスフォーメーション担当統括本部長
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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2009年6月4日,同社が推進する「MFA(メインフレーム移行,Mainframe Alternative)」を加速する新施策として,メインフレームのアプリケーションをフォールト・トレラント・サーバーの「HP Integrity NonStopサーバー」に移行する新しいサービスを発表した。

 レガシー・マイグレーション案件で実績の多い東京システムハウス(TSH)の移行支援ミドルウエア群「AJTOOL」を使って,移行期間やコストを削減する。AJTOOLは2009年4月にNonStopサーバーへの移行に対応した。TSHによれば「過去の実績では,オープン環境で再構築する場合と比較して,コストを約半分程度に抑えられる」という。

 日本HPの松本芳武執行役員ESSトランスフォーメーション担当統括本部長(写真)は,発表会の冒頭,「今,日本のユーザーに一番必要なのは,ITコストの透明性だ。しかしそれがもっとも低いのがメインフレームだ」と“糾弾”。日本HPがMFAに取り組み始めたのは10年以上前のことだが,依然として日本は「売り上げの割合が世界平均の2倍もメインフレームが使われているというガラパゴス」(同)だと語った。

 2008年秋に日本HPのエンタープライズストレージ・サーバ営業統括本部に新設されたというMFA営業部の北元智史部長は,「これまでオープン環境への移行を提案しても,最後まで信頼性への不安が残ってしまうケースが多かった。そこでTSHと相談したところ,NonStopサーバーというアイデアが出てきた」と語る。

 NonStopサーバーは,フォールト・トレラント・サーバーとして,クレジット・カードのオーソリゼーション(与信照会)処理などで多く使われている。だがこれまでのところ,メインフレーム資産の移行先として使うケースは多くなかった。ハードが比較的高価な上に,移行作業を自動化するツールもそろっていなかったためだ。

 今回の取り組みにより日本HPは,MFA関連のNonStopサーバーの売り上げを1年間で現状の2倍に拡大する計画。松本統括本部長は,「今もメインフレームに残っているシステムは,ミッション・クリティカルなものがほとんど。NonStopサーバーへの移行が確実に増えるだろう」とした。