日本民間放送連盟は,2009年6月1日に開催された情報通信審議会の「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」において事務局が示した取りまとめの方向性(案)([こちら] )に関するコメントを発表した。

 取りまとめの方向性案においては,ハード・ソフト分離問題について,すべての放送を対象に「放送施設の設置」と「放送の業務」を別の行政手続きとするとともに,一致または分離について「事業者が選択可能」にするとした。また,地上放送については,「放送設備の設置者が放送の業務を行うことを希望すれば,他者への放送設備の提供よりも,その希望が優先されるように措置を講ずることが必要と明記した。

 こうした方向性が示されたことに対し,民放連は「新たな法体系において放送の概念や放送法の理念・目的を維持するとともに,地上放送においてハード・ソフト一致による事業形態を希望すれば優先されることが明記され,また規制の緩和によって経営の選択肢も広がった。これらの点は民放連の主張に沿うものであり評価する」と,前向きな姿勢を示した。

 一方で,行政手続きが分離されることについては,「地上放送についてハードとソフトの行政手続きが分かれることで,それぞれの業務の免許・認定などにあたって行政が介入しやすくなる恐れがあり,そうした懸念を払拭できるよう慎重な検討が必要である」と指摘した。

 また,電波利用の柔軟化や放送の安全・信頼性確保に向けた方策の検討にあたっては,「放送の実状を十分踏まえることなども引き続き求めていきたい」とした。

 なお,電波利用の柔軟化については,「通信および放送両用の無線局の開設を可能とする制度」を整備することや,ホワイトスペースの活用に向けて,技術的検証を行う検討の場を立ち上げるなど,具体的な取り組みを進めるとしている。

 安全・信頼性については,放送・有線放送を対象に「重大事故の報告義務,設備の維持義務などの規定を整備することが適当」としている。これまでの議論で,携帯電話などの無線施設との比較して,放送は概して行政に対する報告のタイミングやその内容を充実させる必要があると指摘されてきた。また,技術基準に違反した場合の担保措置についても,「設備の改善命令や技術基準適合命令のような担保措置を整備する」などが示されている。

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