東北大学、大阪大学、国立情報学研究所、NECは2009年6月2日、グリッド技術を活用して遠隔地にある2つのベクトル型スーパーコンピュータの連携を実現したと発表した。「ベクトル型スパコンのグリッド連携は初めて」(NEC広報)としている。利用者はベクトル型スパコンを仮想システム上で使えるようになり、計算処理の効率性や高速化を追求できるという。

 ベクトル型スパコンは一処理装置の高速計算を追求するスパコン。処理装置の並列化を前提とするスカラー型と比較される。

 連携には、国立情報学研究所が無償提供するグリッド技術を用いたスパコンなどの連携・共有ソフト「NAREGIミドルウェア」を活用する。東北大と阪大が保有するNEC製ベクトル型スパコンを、同研究所が運営する学術情報ネットワークで連携させた。スパコンの単純合算による処理能力は、約40テラFLOPS(テラFLOPSは1秒間に1兆回の浮動小数点演算)。

 ベクトル型スパコンの効率性を向上するソフト「GridVM for SX Vector Computer」をNAREGIに導入することで、スパコン間で最適な計算処理領域の振り分けを実現したという。

 今後は、世界で約1000台を出荷するNEC製ベクトル型スパコン同士の連携を模索する。各研究機関に参加を呼びかけ、仮想化技術を活用した新たな学術情報基盤の確立を目指す。

 2010年初頭までに一般公開する計画で、実用化の時期については明言していない。