NTTデータは2009年6月1日、ERP(統合基幹業務システム)パッケージソフト「Biz∫(ビズインテグラル)」の開発・販売を目的とした新会社「NTTデータ・ビズインテグラル」の営業を開始した。Biz∫は中堅企業向けにNTTデータが新たに開発したパッケージソフト。NTTデータ イントラマートの中山義人社長が、新会社の社長を兼務する。中山社長は「NTTデータグループ内外の国産パッケージのノウハウを集めた新しいERPパッケージがBiz∫。コンサルティングや運用保守のサポートも含めBiz∫を拡販していきたい」と意気込みを語った。

 新会社の社員数は20人程度からスタートする。営業・コンサルティングと開発担当者の割合は半々。「最終的には70~80人程度にしていく」(中山社長)計画だ。資本金は4億5000万円。出資比率はNTTデータが74.5%、NTTデータのグループ会社であるNTTデータ イントラマートとNTTデータ システムズがそれぞれ11.1%。このほかNTTデータグループ外から人事管理ソフトのアイテックス、帳票ソフトのウイングアーク テクノロジーズ、生産管理ソフトの東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)が1.1%である。3年後をメドに200社にBiz∫を販売する狙い。

 Biz∫はSOA(サービス指向アーキテクチャ)の考え方を取り入れたパッケージソフト。NTTデータ イントラマートのWebフレームワーク「intra-mart」を基盤に、財務会計や販売管理、人事管理、生産管理といった業務アプリケーションをサービスとして連携できることが特徴だ。

 当初はNTTデータシステムズのERPパッケージ「SCAW」に加え、出資企業のアプリケーションをintra-mart上で動作できるように改変し、Biz∫のサービスとして提供する。第一弾として「販売管理とBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトを組み合わせて今年の上半期中に出荷する」(中山社長)。将来的にはNTTデータグループや出資企業のアプリケーションに加え、Biz∫として動作するための開発規約を作成し、開発規約にのっとったアプリケーションもBiz∫ブランドで提供する。

 Biz∫はサーバーにインストールして利用するほか、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)としての提供も計画している。具体的な提供元は現時点で決まっていない。今後、「NTTデータだけでなく、NTTグループでもSaaSを提供するネットワークを持つ企業はある。こうした企業と協力していきたい」(中山社長)意向だ。

 Biz∫の競合について中山社長は「独自のポジショニングだと考えている。独SAPや米オラクルのパッケージを導入している企業に対しては補完的な利用を勧めることもできる」とした。独SAPや米オラクルのほかに競合として、複数の国産パッケージソフトを組み合わせ、一つのパッケージソフトとしての販売を目指す団体「メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア コンソーシアム(MIJS)」が想定される。NTTデータ イントラマートやウイングアーク、B-EN-GはMIJSの会員でもあることから「競合はしないのか」との質問に、「MIJSでの話し合いの成果をBiz∫に反映するなど、協調路線で行く」と中山社長は説明した。