みずほ情報総研株式会社 情報コミュニケーション部 マネジャー 橋本明彦氏
みずほ情報総研株式会社 情報コミュニケーション部 マネジャー 橋本明彦氏
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まちづくり三鷹 事業部 シニアマネージャ 宇山正幸氏
まちづくり三鷹 事業部 シニアマネージャ 宇山正幸氏
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まちづくり三鷹の図書館システム
まちづくり三鷹の図書館システム
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イーシー・ワン 代表取締役社長 最首英裕氏
イーシー・ワン 代表取締役社長 最首英裕氏
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New York Timesの事例(イーシー・ワン最首氏の講演資料)
New York Timesの事例(イーシー・ワン最首氏の講演資料)
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 2009年5月27日に開催された独立行政法人 情報処理推進機構のイベントIPAX 2009で,Rubyによる企業,自治体の情報システムの事例や,Rubyに関する調査の紹介が行われた。

 IPA オープンソフトウェア・センター 非常勤研究員でテックスタイル代表取締役の岡田良太郎氏とみずほ情報総研株式会社 情報コミュニケーション部 マネジャーの橋本明彦氏は,IPAで行っている「自治体・企業等の情報システムへのRuby適用可能性に関する調査」を紹介。Rubyが自治体システムの適用可能性や,適用にあたっての課題と対応策をまとめるもの。まつもとゆきひろ氏が在籍するネットワーク応用尾通信研究所や松江市の企業であるテクノプロジェクトなどと共同で調査を行っており,調査結果は「Ruby活用ガイドライン」として公表する予定である。

 まちづくり三鷹 事業部 シニアマネージャ 宇山正幸氏は,「Rubyによるまちの活性化に挑む」と題し,同社がRubyで開発した図書館システムとそのビジネスモデルについて紹介した。三鷹市が出資する第三セクターである同社は,自治体の情報システムのコスト削減を目指し図書館システムを開発した。「Rubyは生産性が高く,3人,6カ月で完成した」(宇山氏)。

 「地域のIT企業と連携することにより,各自治体にとって地元企業の育成になる」(宇山氏)ようにする。すでに長野県塩尻市に採用が決まっており,2009年夏に稼働する予定である。塩尻市によれば,価格は既存システムの半額になったという(関連記事

 イーシー・ワン 代表取締役社長 最首英裕氏は,「Rubyは考えていることを簡潔に表現でき,すばやくサービスインできる言語」と話す。例えばNew York Timesは130年ぶんの過去の新聞1100万枚をPDFに変換するツールをRubyで,たった1人で開発した。Amazon Web Service上でHadoopによる並列処理で1日で変換した。最首氏の試算では,New York TimesがAmazonに払った使用料は18万円程度。New York Timesはそのノウハウを公開している。

 イーシー・ワンではRubyとAmazon Webサービスを使って,販売業者ごとにカスタマイズできる販売サイト構築システム「EC-Rider」を構築した。負荷に応じてマシンリソースを増やしてスケールできる。「クラウドコンピューティングでは,どこにあるか,誰がやっているかは無意味。日本人が世界を相手にできる」(最首氏)。考えた人が実装するのが一番速い,と最首氏は言う。“普通の人”がRubyでシステムを作れるよう,最首氏が会長を務めるコミュニティ「Rubyビジネス・コモンズ」(関連記事)では,RubyによるWebアプリケーション構築を学べるワークショップ「イケテル勉強会」を開催している。