SAS Institute Japanは2009年5月25日、与信管理に関する情報を連携し、分析精度を高めるためのソフト製品を発表した。入会審査のルールや貸し出し額の設定といった情報と、回収順序などを決めるための情報を連携して分析できる。最も全体の利益が高まるように各与信管理業務を行うのに役立つという。クレジットカードや信販、個人向けローンなどクレジット事業を展開する企業向けに拡販する。 

 ソフトの名称は「統合与信管理ソリューション」。カードの発行やローンの申し込みなどの審査ルールを管理する「初期与信」と、貸し出し額などの増減を決める「途上与信」、延滞時の回収スケジュールなどを決めるための「回収管理」の3業務の情報を連携する。SASの宮田靖 執行役員ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長は「初期与信、途上与信、回収管理といった与信管理に関するすべての機能を持っていることと、その3つを統合管理できることが他社製品にはない強み」と強調する。

 一般に各与信管理業務を担当する部署は別々で、十分に連携がとれていないケースも少なくない。このため「回収管理業務に多大な負荷がかかってしまうといったケースもあった」(SASの高橋昌樹ビジネス開発本部CIビジネス開発部長 兼 RIビジネス開発部長)という。統合与信管理ソリューションを利用すれば、3業務全体の効率を考え、適切なカードの発行量や貸し出し額の設定、回収スケジュールの立案などが可能と売り込む。

 統合与信管理ソリューションはSASの既存製品の組み合わせで構成する。今回新しく開発した製品・機能はないという。高橋部長は「以前は3業務がそれぞれ縦割りの組織であり連携するという発想がなかった。しかし上限金利の引き下げやカード発行数の飽和などの厳しい事業環境により、与信管理業務全体を把握したいというニーズが出てきた」と話す。

 価格は非公表だが、「参考価格は必要なコンポーネントを一式そろえた場合で2000万円から」(高橋部長)。SASは目標として初年度に5社への導入で売り上げ2億円、来年度はその倍を狙うとする。