米国立公文書館(NARA)は米国時間2009年5月20日,クリントン政権下の大統領行政府のデータを格納した外付けハード・ディスク装置(HDD)が行方不明であることを発表した。データ量が膨大であるため,影響を受ける人数は発表時点で把握できていない。HDD発見のための有力な情報提供に対して,報奨金5万ドルを支払うとしている。

 同HDDは記録保管のための定期的なコピーに使用していたもので,大統領行政府の元職員をはじめ大統領や連邦政府に関する情報が記録されている。クリントン政権時代の大統領官邸の職員や訪問者の氏名および社会保障番号といった個人情報も含まれる。

 最後に同HDDが確認されたのは2008年10月から2009年2月第1週の間。その後,同HDDを扱う処理室では,データ検証の自動化ツールを導入する3月半ばまで,同HDDに関する作業を停止していた。データ分析を再開しようとした3月下旬に,紛失していることが分かった。

 3月24日からNARAの職員が広範な捜索を行ったが見つからなかった。4月2日に記録管理局長官代理や監察官などの幹部に報告し,監察官が犯罪捜査を開始した。また,国土安全保障省のコンピュータ緊急対応チーム(US-CERT)や大統領首席法律顧問のオフィス,上下院監督委員会,クリントン元大統領の代理人にも連絡した。

 なお,データのオリジナル・テープとバックアップはNARAに残っている。NARAは現在,同HDDに誰の情報が格納されていたか調査を行っており,情報が流出した可能性のある個人には,通知を行うとともに,1年間の信用監視を提供する。

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