テキサス州タイラーの米連邦地方裁判所の陪審団は,米Microsoftに対しカナダのソフトウエア会社i4iの持つ電子文書処理に関する特許を故意に侵害したとして,2億ドルの支払いを命じた。これは2009年に入ってから4番目に高額な陪審評決だが,判事の判断でさらに増える可能性がある。

 i4i社長のKaren Heater氏は「われわれの考えがきちんと認められたと思う」と述べた。同社は,Microsoftが同社特許の存在を知っており,故意に「Word 2007」「Word 2003」で侵害したと主張。両製品は文書のエンコードと変更にXMLを利用しており,i4iによると,Microsoftの実施したXMLの改造が特許侵害にあたるという。

 これに対し,Microsoftは陪審評決の見直しを求めるとしている。

 Microsoftの広報担当者は,「証拠を見れば,当社が特許を侵害していないことと,i4iの該当特許が無効であることが間違いなくはっきり分かる。今回の支払い命令は,法律と事実のいずれに照らし合わせても受け入れられないはずだ。そこで,裁判所に判断の見直しを求める」とコメントした。

 Microsoftが2009年になって特許関係で支払い命令を受けたのは,今回で2回目だ。4月の1回目は金額がもっと高く,シンガポールUnilocの特許に違反したとして3億8800万ドルを支払うよう命じられた(関連記事:Microsoftにアクティベーション特許侵害訴訟で3億8800万ドルの賠償命令)。Microsoftはこちらの陪審評決も破棄を求めている。これらと並行して,同社が4月に「米連邦議会上院で審議中の特許制度の改革法案を支持する」と発表したのは,偶然の一致でないだろう。