写真●米マイクロソフトのビル・レイン Windows Server&ソリューションズ部門担当コーポレート副社長
写真●米マイクロソフトのビル・レイン Windows Server&ソリューションズ部門担当コーポレート副社長
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 「日本のサーバー市場は非常に激しい。価格競争の厳しさは米国以上だ」。米マイクロソフトでWindows Serverとその関連事業を率いるビル・レイン コーポレート副社長(写真)は、こうした見方を披露した。見解の根拠は日米の低価格サーバー機の価格差。マイクロソフトは4月、中小企業向けに機能や性能を限定したサーバーOS「Windows Server Foundation」を発売した。同氏によれば米国の低価格サーバーの相場は1000ドル(10万円)で、Foundation搭載モデルも同程度になる見込み。それに比べ、日本国内モデルは5万円台(500ドル)と、半値近い安さだ。

 一連の発言は2009年5月21日、日本法人が開いたサーバーOSの小規模改良版「Windows Server 2008 R2」の説明会でのもの。レイン氏は価格差が生まれる理由として日本メーカー同士の価格競争を挙げた。「日本の顧客は価格に対する要求が厳しく、メーカー間の競争が激しい。おのずと価格帯は下がる。私は日本で150ドルのサーバーを目にしたこともあるほどだ。米国では1000ドル以下だが、日本はそれ上に厳しい」。

 低価格版Windows Serverの販売で業績面に悪影響はないのか。マイクロソフトの2009年度第3四半期(2009年1月~3月)の業績は、クライアント(パソコン向けOS)部門の売上高が前年同期比15%減、営業利益は同19%減となった。「ネットブック」と呼ばれる低価格ノートパソコン向けに割安なWindowsを発売したことを、業績悪化の主因とする見方がある。

 レイン氏は「低価格サーバー機の中にはWindowsを搭載していないものが数多くある。そうしたサーバー機に、相応の価格のWindowsを提供できる。むしろ販売機会は増大する」として、懸念の払拭に努めた。

 マイクロソフトはFoundationに続いて、Windows Server 2008 R2を今年末にも発売する。クライアント向けの新版「Windows 7」と同一のカーネルを使って開発するサーバーOSで、両者を同時期に市場へ投入する計画だ。「顧客の最大の関心はコスト削減。2008 R2にはコスト削減に寄与する多数の強化を施した」とレイン氏は力説した。