写真●マイクロソフト コマーシャルWindows本部の中川哲本部長
写真●マイクロソフト コマーシャルWindows本部の中川哲本部長
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 マイクロソフトは2009年5月20日,RC(製品候補)版を提供中の次期OS「Windows 7」に関するプレス向け説明会を開催した。同社 コマーシャルWindows本部の中川哲本部長(写真)は,「私はマイクロソフトで様々な製品のプロダクト・マネージャーを経験してきたが,これまで発表したどのベータ版,RC版よりも,Windows 7のRC版は品質が優れている」と述べ,RC版の完成度が高いことを強調した。

 Windows 7のウリの1つは,現行のハードウエア,Windows Vistaで動作しているソフトウエアとの互換性である。Windows 7では,VistaやXPといった過去のWindowsに対する「互換モード」を基本機能として用意している。それ以外に,導入前に互換性を確認するツール「Upgrade Advisor」「Application Compatibility Factory」や,動作しないアプリケーションの互換性を確保するためのツール「Application Compatibility Toolkit」,互換性のないWindows XP用アプリケーションを動作するための仮想化技術「Windows XP Mode」といった,数多くの機能やツールを提供し,とにかくWindows 7では過去のWindowsとの“互換性”に対して強いこだわりをもっていることを強調した。

 中川氏は「Windows 7に移行する前に,次の順序で互換性を確認してほしい」と述べ,これらの機能やツールを使うステップを示した。

 (1)まず,事前チェックとして,「Upgrade Advisor」でWindows 7をインストールしようとしているPCがWindows 7の動作要件を満たしているかどうかを診断する。PCの診断に問題がなければ,「Application Compatibility Factory」でアプリケーションの互換性を確認する。

 (2)Application Compatibility Factoryで互換性に問題があると診断された場合,次はWindows 7にある互換モードを試してみる。アプリケーションによっては,「互換性トラブルシューティング」機能が自動的に起動し,Windows 7で動作するように設定を変更してくれる場合もある。(3)Windows 7の互換モードを使っても動作しないアプリケーションについては,別途提供する「Application Compatibility Toolkit」を使って問題を調査し,ユーザーがAPIレベルで細かく互換レベルを調整する。

 (4)それでも互換性が得られなかった場合に使ってほしいと説明したのが「Windows XP Mode」である。Windows XP Modeは,Windows 7のRC版ではじめて披露された新しい技術である(関連記事)。Virtual PCを使った仮想マシン上でWindows XP Professional相当のライセンスを無償で提供するなど,XPとの互換性を確保する切り札として注目されている。だが,マイクロソフトとしては,あくまでWindows 7の互換モードや互換ツールを駆使しても互換性が得られなかった場合の「最終手段」という位置づけと説明した。