写真●日本HPの小出伸一社長
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写真●一橋大学の米倉誠一郎教授
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 日本ヒューレット・パッカードは2009年5月20日,就職活動に臨む学生を対象とした「SHUKATSU It's MEプロジェクト」の発足を発表した。小出伸一社長は「就職は人生最大の転機。画一的でマニュアル化された就職活動で済ませることのないよう,自分の個性を再発見し創造力を高める機会を提供する」と同プロジェクトの目的を説明した。

 就活学生応援プロジェクトを立ち上げた理由について,小出社長は「小さなガレージから始まってここまで成長したHPには,チャレンジ精神を重んじる気風が強い。これまでも,テニスの伊達公子さんなど様々なチャレンジャーを支援してきた」としたうえで,「だが今最大のチャレンジャーなのは,昨秋以降の大変厳しい経済環境の中で就活に取り組む学生ではないかと考えた」と続けた。

 プロジェクトの運営には,同社と「SHUKATSU It's ME応援委員会」があたる。委員会は,一橋大学の米倉誠一郎イノベーション研究センター長,早稲田大学の内田和成大学院商学研究科教授のほか,日本HPの小出社長,同じく岡隆史副社長が務めている。このほか,インテルがスポンサーとして協力する。

 一橋大学の米倉教授は,「真っ黒な服を着て,大手町あたりを駆け回る学生を見るたび,これでいいのかと思っていた。そこに風穴を開ける今回の取り組みに賛同した。また,学生に個性や創造力を求めれば,今度は企業の側も姿勢を問われる。何が起こるかわからないが,面白いことになるのではないか」と語った。

 国内の企業経営者や有識者ら25人の賛同者から成る「エグゼクティブ・サポーター」と呼ぶ組織を結成。ソフトバンクグループの孫正義グループ代表,ジャパネットたかたの高田明代表取締役,インテルの吉田和正社長,テイクアンドギヴ・ニーズの野尻佳孝社長,ディー・エヌ・エーの南場智子社長,マイクロソフトの樋口泰行社長などが名を連ねる。

 プロジェクトの中核プログラム「SHUKATSU It's MEグランプリ」では,エグゼクティブ・サポーターが順番に,就活学生の創造性や人間性を問う問題を出題する。専用のコミュニティ・サイトに寄せられた回答から,出題者がグランプリ1名を選ぶ。優勝者は「さらに創造性を磨き,自分の個性を発見する場として」(日本HPの小出社長),出題者と直接面談する権利を得るという。

 第1問は日本HPの小出社長の出題で,「これから就活の最終面接。なのに,リクルートスーツに白いペンキが。この逆境をチャンスに変えた,あなたらしいアイデアとは?」というもの。1~2週間ごとに次の問題を公開するという。出題者によっては,優勝者のほかに副賞が出る回もある。第1問では20人に,「日本HPの新卒採用で第1次面接まで進む権利」という副賞を出すという。

 5月21日と25日の2回にわたり,早稲田大学(東京・早稲田),慶應義塾大学(東京・三田),青山学院大学(東京・青山),明治大学(東京・駿河台)の各キャンパス周辺で,ステッカーの配布やパフォーマンスなどによる告知活動を実施する予定。6月1日以降,都内6大学(青山学院大学,中央大学,帝京大学,東海大学,法政大学,早稲田大学)7キャンパスに「キャンパス・ステーション」と呼ぶ会場を設置する。「PCを設置して学生が自由にグランプリにエントリーしたり,他の学生の回答にコメントしたりできるように開放する」(日本HP)計画だ。