NHKは2009年5月19日,放送技術研究所の研究成果を披露する技術展示会である「技研公開」のプレスプレビューを開催した。ここで,特殊な眼鏡を使わずに立体映像を視聴者に対して表示できる「インテグラル立体テレビ」の研究成果を公開した。NHKは,自然な立体像を再現できる空間像再生型立体方式(複数の光線により空間に光学像を再生する立体方式)の研究を進めている。インテグラル式は,空間像再生型立体方式の一つである。

 インテグラル立体テレビを実現するには,ハイビジョン映像を超える高精細な映像の撮像・表示技術が必要になる。NHKは,フル解像度のSHV映像技術を適用することにより,立体像の解像度を向上させた。撮影や表示に使用するレンズアレー(微小レンズを多数配置したレンズ板)の微小レンズをより細かくすることで,立体像の解像度を従来の約4倍相当の400×250画素相当に向上した。

 NHKは,インテグラル立体テレビの実用化に向けた研究を,日本ビクターと共同で進めている。今後は画質の向上や,再生像の奥行き位置を任意に制御できる映像処理技術など,実用化に向けた研究を進める。なおこの研究の一部は,情報通信研究機構(NICT)の委託研究「多並列・像再生型立体テレビシステムの研究開発」を受託して進めている。