図1●NTTのIPv6インターネット接続機能として提供する二つの方式
図1●NTTのIPv6インターネット接続機能として提供する二つの方式
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写真1●NTT東日本 相互接続推進部 制度・料金部門の今関修一部門長
写真1●NTT東日本 相互接続推進部 制度・料金部門の今関修一部門長
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 NTT東日本とNTT西日本は2009年5月19日,NGN(次世代ネットワーク)でIPv6インターネット接続機能を提供するための接続約款変更の認可申請を総務大臣に対して行ったと発表した。今回の申請では,ISP(インターネット接続事業者)がIPv6インターネット接続機能をNGNで実現するための機能と,そのためのコストなどを接続約款に規定している。申請した接続約款の変更について総務大臣の認可を得てから接続機能の開発を開始し,2011年4月以降に接続機能を実際に提供していくという。

 NTT東西とISPは,NGN上でIPv6インターネット接続が機能しないという,いわゆる「IPv6マルチプレフィックス問題」を解決するために,2008年から接続方式について協議を重ねてきた(関連記事)。今回の申請では,ISPの要望を受けて「トンネル方式」と「ネイティブ方式」の二つが具体的な接続方式として盛り込まれた(図1)。NTT東日本の相互接続推進部 制度・料金部門の今関修一部門長(写真1)によると,この二つの方式について少なくとも1社の申し込みがあったため,それぞれの方式を申請したという。

 このうちのトンネル方式は「案2」と呼ばれてきた方式で,既存のNGNによるIPv4インターネット接続方式と同様に,ユーザー宅のホーム・ゲートウエイ(HGW)とNGNの網終端装置にトンネルを構築し,ユーザーのIPv6パケットを転送する(図1の左)。もう一つのネイティブ方式は「案4」と呼ばれてきた方式で,最大3社のISP(接続事業者,以前は代表ISPと呼んでいた)だけがNGNと直接接続して,IPv6インターネット接続を実現する(図1の右)。そのほかのISPは,これらの接続事業者のローミング・サービスを利用して接続する形になる。

 今回の申請では,トンネル方式について大きな変更が加えられた。以前の提案では,HGWを改修し,トンネル方式に必要な機能(IPv6用トンネル機能とIPv6用NAT機能)を搭載するとしていた。今回は,HGWの配下に「アダプタ」と呼ばれる別装置を置き,そこにIPv6用トンネル機能とIPv6用NAT機能を実装することにした。このアダプタの費用についてはユーザーの負担になるという。

 ネイティブ方式については以前の提案からの変更はなかったが,接続事業者への応募が3社を超えた場合の選定方法が記載された。具体的には,接続事業者のローミング・サービスを利用するISP事業者のユーザー数の合計が多い順に3社を選ぶという。また,接続事業者の責務規定として,ローミング・サービスを利用するISPに対して不当に差別的な取り扱いをしないという条件が盛り込まれた。8月下旬までに接続事業者の申し込みを受け付け,その後3カ月をかけて3社を選定するとした。

[NTT東日本の発表資料へ]

[NTT西日本の発表資料へ]

■変更履歴
ネイティブ方式の説明のところで「3社以上になった場合の選定方法」としていましたが,正しくは「3社を超えた場合の選定方法」です。また,接続事業者の申し込み受付を「8月末まで」としていましたが,正しくは「8月下旬まで」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/05/20 12:50]