フジ・メディア・ホールディングスは2009年5月18日,2009年3月期(2008年度)決算説明会を開催した。代表取締役会長の日枝久氏と代表取締役社長の豊田皓氏が,2008年度の事業や2009年度の経営方針などについて述べた後,質疑応答が実施された。主な内容は次の通りである。

Q.フジテレビ系列のローカル局やBSデジタル放送局の子会社化についての意見を聞きたい。また産業経済新聞社の取り扱いはどうするのか。
A.(日枝氏)現在,系列ネットワークの28局のうち,フジ・メディアHDに入りたいという希望を持っているところはない。こちらから強硬に「入ってくれ」という性格のものではないので,状況を見ながら対応していきたい。産経新聞社については,フジ・メディアHDグループに入ることについてトップ同士で議論して,「2008年10月時点ではグループに入る必要はない」ということになった。ただし「シナジー効果がある」と判断すれば,将来的にあるかもしれない。

Q.ローカル局がどのような用件を満たせば,フジ・メディアHDにとってメリットのある形で取り込むことができると考えるか。
A.(日枝氏)ローカル局は地域に根ざしている。各局は株主の判断や地域社会の要望を考慮して,株主にメリットがあると判断しなければ,うちに入ってこないだろう。我々にとっても業績が赤字の系列局を入れることにメリットはない。双方で経営努力をしつつ,お互いの経営判断が合うときに出る話だ。具体的な基準は現時点で持っていない。

Q.他社が制作費を削減する中で,2009年度に前年度の実績に比べて横ばいの番組制作費を確保するが。
A.(豊田氏)番組は将来にわたる収益の源泉だ。番組制作費は落としたくない。なぜかというと,番組の質を落としたくないし,制作力を落としたくないからだ。当社は,携帯電話専用の放送局「BeeTV」を手がけるエイベックス通信放送から,番組制作の発注を受けた。フジテレビに制作力があるから,こういう話がある。すべての源は番組コンテンツなので,収入の動向をみながら柔軟に対応したい。

Q.テレビ広告市場の現状をどう見ているか。
A.(日枝氏)放送のようにユニバーサルに広告をプッシュするメディアはほかにない。広告メディアとしてのテレビに失望はしていない。ただし変革は必要だというのが私の考えだ。
【質疑応答終わり】

 なおフジ・メディアHDの2009年3月期の連結業績は以下の通りである。
売上高:5633億2000万円(前年同期比2.1%減)
営業利益:198億3000万円(同18.6%減)
経常利益:223億6500万円(同17.3%減)
当期純利益:165億6700万円(5%増)

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