NHK(日本放送協会)とNTT(持ち株)は2009年5月18日,1回のユーザー認証だけで視聴機器を変えてもコンテンツを継続視聴できる技術「マルチデバイス・シングルサインオン」技術を開発したと発表した。

 シングルサインオン(SSO)技術を使用すると,視聴者は最初のサービス利用時のみユーザーIDやパスワードなどの認証情報を入力すれば,次回以降認証情報を入力せずに利用できる。従来通信で使われてきた「ID連携SSO」技術は,個人情報をサービス事業者間で共有せずに安全にユーザー認証を行っていたが,パソコンなどの機器を対象としておりデジタル放送受信機でそのまま利用できなかった。また,視聴機器を変更すると再認証が必要だった。

 今回,従来ユーザー認証で利用していた利用者を特定するための証明書「認証アサーション」に加えて,利用者の権利情報を受信機間で引き継ぐための証明書「移譲アサーション」を新たに設定し,これらの両証明書を使ってユーザー認証する仕組みを開発した。無線機能などを経由して両証明書を受信機間で移動することで,テレビを含む複数の受信機でID連携SSOを実現する。この機能を使うと,例えば携帯型テレビから家庭用テレビに視聴する受信機を変更しても,コンテンツを継続して視聴できる。

 今回発表した技術は,ネットワークサービスにおけるID連携のオープン仕様の開発を目的とする非営利組織「リバティ・アライアンス」で国際標準化された。また,NHKは2009年5月21日~24日に開催する放送技術研究所の一般公開で試作システムを展示する。

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