日本IBMは2009年5月18日、金融機関を相互に連携する実証実験を開始すると発表した。銀行、保険会社、証券会社などの金融機関が参加し、企業間の情報連携などを進める。顧客の利便性向上やサービス運用の効率化を検証する。

 「ビジネスECOシステム実証実験」の名称で、明日から順次実験を開始する。対象となる業務は「本人実在確認」「住所変更」「情報発信」「商品購入・旅行保険」「投資相談・貯蓄商品提案」といった顧客向けサービス。例えば顧客が銀行で住所変更を申し出ると、顧客が利用するほかの保険会社や証券会社の情報にも住所変更を反映できる。複数の機関に出向く必要がなくなるため、顧客の利便性向上につながる。

 技術検証だけでなく顧客情報を安全に利用できるかの確認など、今後の課題を洗い出す。次世代金融システムの研究・情報交換などを目的とした「IBM金融SOAコミュニティー」の分科会の一つ「金融サービス連携検討分科会」が検証する。IBM金融SOAコミュニティーには現在、銀行や保険会社、証券会社など29社が参加する。

 システム基盤にはSOA(サービス指向アーキテクチャ)の技術を採用する。設計にはSWIFT(国際金融決済ネットワーク)が活用するISO20022を参照した。中国・上海でシステム開発にあたり、システムの一部はインドのIBMクラウドセンターで動かす。