メディア大手のフジ・メディア・ホールディングスは、5月15日より通販大手セシールの株式を公開買い付け(TOB)して子会社にすると発表した。フジ・メディアHDの通販子会社ディノスとセシールを合併させ、売り上げ拡大とコスト削減を図る方針。セシールの経営陣はTOBに賛同を表明した。またセシールの親会社LDH(旧ライブドアホールディングス)は持ち分すべてを応募する方針。

 フジ・メディアHDの子会社フジ・メディア・サービスが、7月1日までセシール株を1株180円で買い付ける。これは5月13日までの過去1カ月間における市場終値平均に対し約11.33%ディスカウントした額。買い付け予定数の下限は議決権ベースで56.21%。LDHとその子会社のアジア物産が同数を応募する見込み。上限は設けず、80%程度の応募があった場合は、フジ・メディア・サービスが株式交換によりセシールを完全子会社にすることを検討している。セシールは上場廃止になる可能性がある。

 フジ・メディアHDは、2010年4月以降にセシールとディノスを合併させる考え。顧客リストやカタログを統合し、互いの地域や商品を補完する。またカタログにかかる用紙代や印刷費、通信費を低減し、コールセンターや物流センター、システム関連投資のコストを抑制する。組織体制や人事制度の見直しによる費用の適正化も図る。通販サイトの統合や会員ID、ポイントの共通化も検討する。このほかセシールのテレビ通販事業に、フジ・メディアHDがメディア戦略や番組制作の面で協力する。

 セシールが5月14日に発表した2009年1―3月期の連結業績は、売上高が前年同期比13.7%減の128億4800万円。消費の冷え込みに加え、カタログ通販の効率を高めるため配布部数やページ数を減らした影響が出た。純損益は6億3800万円の赤字(前年同期は4億3700万円の赤字)だった。2009年12月期通期の連結業績予想は据え置き、売上高を前年比1.6%増の650億円、最終損益を2億円の赤字(前年度は14億1800万円の赤字)とした。

 またフジ・メディアHDが同日発表した2009年3月期の連結業績は売上高が前年比2.1%減の5633億2000万円。放送事業の広告収入が落ち込んだ。LDHからの和解金を計上したため、最終利益は5.0%増の165億6700万円だった。なお、ディノスは原価率の高い催事事業を縮小したため減収だが、カタログ、テレビ通販とも好調で営業損益は黒字に転じている。

 フジ・メディアHDは2010年3月期の連結業績予想について、売上高を前年比2.2%減の5512億円、最終利益を45.1%減の91億円と見込んでいる。引き続き放送事業で減収減益を見込む。

■関連情報
・フジ・メディア・ホールディングスのWebサイト http://www.fujimediahd.co.jp/
・セシールのWebサイト http://www.cecile.co.jp/