米Microsoftは今週,「Windows Server 2008 R2」の仕様変更を発表する。しかも,この変更は大きなニュースだ。Windows Server 2008 R2は,Windows 7のサーバー版OSに位置づけされるもので,Windows 7と同様に製品候補(RC:Release Candidate)版が先日公開された(筆者は2009年5月第2週,アップデート版サーバー向けOS「Windows Server 2008 R2」の製品候補版の概要を英文の記事としてまとめた。)。

 第1に同社は,Windows Server 2008 R2に「File Classification Infrastructure(FCI)」と呼ぶ大きな新機能を搭載する。システム管理者やIT担当者がFCIを利用すると,ファイルのラベルとプロパティを使ってデータを分類し,この分類に応じたポリシーを適用できるようになる。FCIはポータル・サーバー「Microsoft Office SharePoint」と互換性があり,「File System Resource Manager(FSRM)」コンソールで管理する。

 第2に同社は,Windows Server 2008 R2の仮想化機能「Hyper-V」の「ライブ・マイグレーション」について,同種プロセッサ(IntelあるいはAMD)ベースのサーバー間で利用できるようにする。ライブ・マイグレーションとは,仮想環境上の仮想マシンを動作させたまま別の仮装環境に移動させる機能である。これまでは,プロセッサの種類とバージョンが同じサーバーでないと,ライブ・マイグレーションはできないとしていた。

 つまり,「Intel Pentium 4」搭載サーバーから「Intel Core 2 Duo」搭載サーバーへのライブ・マイグレーションの操作が行えるようになるのだ。ただし,AMD系プロセッサとIntel系プロセッサにまたがるライブ・マイグレーションはまだ対応しない。同社は,こうした移動に未対応の理由について「技術上の問題であり,政治的なものでない」としている。そして,異種プロセッサ間のライブ・マイグレーション実現に向けての作業を進めているという。

 第3に,Hyper-Vバージョン2.0では,Windows Server 2008 R2サーバー上にある最大256個のプロセッサを使って,最大64個の論理プロセッサで構成するプロセッサ・プールが作れるように拡張される。この論理プロセッサ・プールは,必要に応じて好きな台数の仮想マシンで分けて使える(Hyper-Vの初版が対応していた論理プロセッサ数は24個で,リリース当初の16個から増えた。Windows Server 2008本体では64個の論理プロセッサに対応している)。