写真●東洋ビジネスエンジニアリングの石田壽典社長
写真●東洋ビジネスエンジニアリングの石田壽典社長
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 東洋ビジネスエンジニアリングは2009年5月13日,2008年度(2009年3月期)の決算を発表した。売上高は前年度比5.2%増の141億7600万円,営業利益は同106.9%増の3億4300万円,経常利益は138.4%増の3億700万円となった。
下期の受注減が響いた。2010年3月期の売り上げ見通しは2割以上の減収を見込む。同社の石田壽典社長は「(2010年3月期が)正念場」との認識を示した。

 主要顧客である製造業からの受注は、上期は「かなり好調」(同社)だったものの,下期に失速した。通期の受注高は前年度比7.7%減の132億2500万円となった。また利益は増加したものの,期初予想を下回った。ライセンス販売の減速や不採算案件の発生によるものだ。

 この不採算案件について石田社長は「eビジネス分野で大規模な基盤を整備する3年がかりのプロジェクトの最初のフェーズが終わった段階。今後,SOAによるプロセス統合が進むとみており,その先進事例として取り組んでいるプロジェクトでもあり,早期に挽回したい」と説明した。

 この「eビジネス分野」とは,SCM(サプライチェーン・マネジメント),CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント),ECなどの企業間システムを主に日本オラクル製品を使って構築する事業のこと。SAP製ERPによるSI,自社製品(MCFrameやA.S.I.A.)事業と並んで,同社の事業の3本柱である。

 2010年3月期は,どの事業分野も減収になるとみる。売上高予想は前期比22.4%減の110億円とした。特にeビジネス事業は,予定していた案件が先送りになった影響で,5割以上の減収を予想するという。

 ユーザー企業のIT投資動向について石田社長は,「製造業などのユーザー企業は,仮に売り上げが2割5分減っても利益を確保できる体制を目指して,コスト削減策などを強烈に進めている。やむにやまれぬ案件以外ばっさり切る状況だ。だが2010年度には,筋肉質になったユーザー企業が,ITによる経営基盤の強化に動くのではないか」とみる。

 2010年の売上高予想110億円は,ユーザーの予算措置の動きが想定より遅くなるケースも想定したものだという。「2009年下期は,ユーザー企業のIT部門にとっては次の予算措置の正念場になるだろう。当社としても正念場。ユーザーの動きにいち早く対応できるよう,SOAによるプロセス統合の提案力,構築力を強化していく」(石田社長)。2009年度下期のユーザー企業の動き次第では,10億~20億円程度の上乗せもありうるとした。