グーグルは2009年5月13日,地図上のさまざまな地点の景色をパノラマ写真で表示するGoogleマップの機能「ストリートビュー」にプライバシ保護のためのサービス改善を加えたと発表した。ほぼすべての自動車のナンバープレートにぼかし処理を入れたほか,カメラの高さを40cm下げたうえで画像の再撮影を進める。画像の公開停止を依頼できる専用ダイヤルも設ける。
グーグルは2008年8月に日本国内の12都市でストリートビューを開始。地図上のさまざまな地点の風景を確認できることから,仕事の訪問先や旅行先といった「行ったことのない場所を事前に確認できるので,道に迷わなくなったなど好評をいただいている」(河合敬一プロダクトマネージャー)という。
その一方で,車のナンバープレートが表示されている,家の柵の中が見えてしまうなどプライバシを尊重していないとの意見が多く寄せられた。今回,「サービスを社会に受け入れてもらうために,対話を持ちながら改善していく」(河合マネージャー)として四つの変更を加えた。
一つめは,車のナンバープレートへのぼかし処理。これまでユーザーの要望があった場合にぼかし処理を入れてきたが,画像処理技術を改善させることで,ほぼすべてのナンバープレートに処理を施した。
二つめは,撮影時のカメラの高さを下げて,写真を再撮影すること。従来は専用車(写真1)に地面から2m45cmの高さにカメラを設置して,画像を撮影していた。これを40cm下げて,2m5cmの高さとした。撮影が終了した地域から,随時画像を切り替えていく。画像を従来より高解像度のものにするので,ナンバープレートの認識率も向上するという。
三つめは,ストリートビュー専用ダイヤルの設置。パソコンに慣れていない人でも画像の公開停止について相談できるようにした。四つめは,画像の公開停止を受け付けるWebサイト上で,表札にぼかしを加える要請を出せるようにしたことである。
サービスを拡大するための試みとして,動物園,遊園地,商業施設などの内部をストリートビューで公開できるようにするパートナープログラムを開始する。ストリートビューで施設の内部を紹介したい事業者から,申し込みを受け付ける。施設の内部は自転車に搭載したカメラ(写真2)を使って撮影する。京都の高台寺や北海道の旭山動物園でテストを実施したという。