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 日立製作所は2009年5月12日、2009年3月期の業績を発表した。売上高は前年同期比11%減の10兆3億円、営業利益は同63%減の1271億円の減収減益。純損益は7873億円の赤字だった(前年同期は581億円の赤字)。併せて発表した10年3月期の業績予想は、純損益が2700億円の赤字を見込む。三好崇司副社長(写真)は「2009年度の第3四半期までは今の状況が続き、それ以降に回復するとみている」と語り、「2010年度に復活できるよう構造改革に取り組む」と続けた。

 事業部門別にみると、売上高は情報通信システム部門が前年同期比6%減の2兆5944億円など、全7部門が減収だった。営業利益は情報通信システム部門が同52%増の1766億円と増益だった。デジタルメディア・民生機器部門は赤字幅が縮小した。残る5部門は減益だった。

 情報通信システム部門では、ソフトウエア/サービス事業とハードウエア事業がいずれも減収増益だった。ソフトウエア/サービス事業は金融機関向けを中心にシステムインテグレーション事業の売り上げが減少したため減収となった。一方でアウトソーシングやコンサルティングが堅調だったことや、プロジェクトマネジメントを強化したことで収益性が向上したことなどで増益を確保した。

 ハードウェアについてはストレージが為替の影響を受けたことが響いて減収になった。懸案のハードディスクドライブ(HDD)事業は通期の黒字化を達成。NGN向け機器が好調だったこともあり増益となった。

 2010年3月期の売上高は前年同期比11%減の8兆9000億円、営業利益は同76%減の300億円を見込む。情報通信システム部門に限ると、売上高が前年同期比9%減の2兆3500億円、営業利益は同56%減の770億円とする。09年1月~3月のHDD事業の売り上げが落ち込んでおり、今後再び厳しい状況になる予兆が出ている点や、サーバーやストレージが為替の影響で大きく利益を落とすとしている。