写真1●NTTが開発した60GHz帯アンテナ・モジュール
写真1●NTTが開発した60GHz帯アンテナ・モジュール
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写真2●薄型の基盤内にパラボラクオrアンテナを収めている
写真2●薄型の基盤内にパラボラクオrアンテナを収めている
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 NTTは2009年5月11日,60GHz帯の電波を使い10Gビット/秒の無線伝送を実現するアンテナ・モジュールを開発したと発表した(写真1)。電波の届く範囲は10m程度。携帯端末やカメラに内蔵し,動画やアプリケーションなどの大容量データを家庭内や店舗で高速伝送する用途を想定する。2~3年後の実用化を目指す。

 このアンテナ・モジュールは,セラミックの多層基盤内に金属の反射面を円形に配置したパラボラ・アンテナを埋め込む。これにより,幅12mmに小型化するとともに,利得を高めた(写真2)。アンテナの厚さは約1mm。試作品の無線モジュールでは,このアンテナ3個をキューブ状に配置し,キューブ内に制御用の基盤も収めた。

 伝送方式としては,57G~66GHz帯を4チャネルに分割し,1チャネル当たり2.5Gビット/秒を並列伝送する。2009年内に標準化されると見られる60GHzの無線方式IEEE802.15.3cへの対応を視野に入れる。今後はさらに小型化を図り,将来的には10mm四方以下のサイズを目標にする。消費電力は0.5W以下,搭載コストは1万円以下を目指す。