NECがICタグ(RFIDタグ)関連事業を大幅に強化する。ほとんどのICタグを読み書き可能なリーダー/ライター(写真1)を1万円を切る低価格で提供するほか、ICタグを使った各種サービスを実現するためのシステム基盤をPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)方式で展開する。NECはICタグ・チップにアンテナを付けた「インレット」の価格が来年以降10円以下に下がるのに前後して、用途と市場が急速に拡大すると判断、事業強化を決めた。2013年度には関連事業の売り上げを現在の約80億円から1000億円規模に引き上がる目標を掲げる。
3周波数対応のリーダー/ライターも1万円以下で提供
事業拡大の先兵となるのが、新開発のリーダー/ライター「RFIDマルチリーダライタ」。UHF帯、13.56MHz、2.4GHzの主要3周波数帯と、EPC GlobalやFelicaなど主要6プロトコルのICタグを読み書きできる。主要3周波数対応のリーダー/ライターは世界初。利用者も企業もICタグの種類を意識する必要がなくなるので、顧客管理など不特定多数の利用を前提としたサービスにも適用しやすくなる。
NECはこのリーダー/ライターを自社で製品化するほか、中核モジュール(写真2)を広く外販する。USB型のリーダー/ライター製品や中核モジュールの価格は1万個納入時で1万円以下に抑える。「大きな利益は追及せずグループ外にも採用を呼びかけ、ICタグ普及の土壌熟成を促す」(ユビキタスソリューション推進本部の本多武彦統括マネージャー)。これまでのリーダー/ライターは安くても10万円弱した。
リーダー/ライター製品は10月から出荷を始める。USB型だけでなく、業務用PDA内蔵型、KIOSK端末型など幅広くそろえる。中核モジュールの量産出荷開始も10月になる予定。こちらはすでにサンプル提供を開始した。