写真1●「Citrix Synergy 2009」の基調講演の様子
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写真2●「Citrix Dazzle」のデモ画面
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 「次世代の企業向けITのキーワードはセルフサービス」。米シトリックス・システムズは2009年5月5日(米国時間)から、年次カンファレンス「Citrix Synergy 2009」を米ラスベガスで開催中だ。初日の基調講演で、CEO(最高経営責任者)のマーク・テンプルトン氏はこう宣言した(写真1)。

 テンプルトン氏は企業向け情報システムの変遷について、1950年代から80年代まではメインフレームの時代、80年代からは個人向けパソコンの時代、90年代はネットワーク化などが起こった企業全体のパソコンの時代と説明。この先に起こる企業情報システムの動向について、「現在は消費者向けに発達しているセルフサービスが、企業情報システムにもやってくる。技術ではなくコンピュータの使い方が初めて時代を表すキーワードになる」と強調した。

 テンプルトン氏が言うセルフサービスとは、消費者が米グーグルの提供するアプリケーションを利用したり、米アップルの「iTunes Store」で音楽やアプリケーションを購入したりする行動を指す。「消費者向けセルフサービスに慣れ親しんでいる世代が今後、入社してくる。こうした世代は、パソコンだけでなくスマートフォンなど、自分の好きな端末を利用しながら、自分で利用したいアプリケーションを選びたいと思うだろう」とテンプルトン氏は話す。

 新しい時代に向けて「iTunesと同様の環境を企業でも実現する」と、テンプルトン氏は基調講演で新製品「Citrix Dazzle」を発表した。Citrix Dazzleは、アプリケーション仮想化ソフト「XenApp」やデスクトップ仮想化ソフト「XenDesktop」などを使って仮想化したデスクトップ環境で、利用したいアプリケーションをユーザー自らが選べるようにするソフトウエアである(写真2)。

 米シトリックス以外の製品を利用してアプリケーションやデスクトップを仮想化している場合も利用できる。加えて、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として一般的に提供されているアプリケーションなどもDazzleを通じて配布できる。Dazzleは今年の後半から技術評価版を提供し始める予定。Dazzleは無償で提供される。

 テンプルトン氏は「システム部門にとってもDazzleのメリットはある」と強調する。「アプリケーションやデスクトップの仮想化と合わせてDazzleを利用すれば、デスクトップの管理を飛躍的に簡素化できる。エンドユーザーも好みのアプリケーションを選択できるので自由度が高まる」(テンプルトン氏)と説明した。