写真1●「BPM BlueWorks」のイメージ
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写真2●「WebSphere CloudBurst」のイメージ
写真2●「WebSphere CloudBurst」のイメージ
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 米IBMは2009年5月4日から米ラスベガスで開催中のSOA(サービス指向アーキテクチャ)をテーマにしたカンファレンス「IBM IMPACT 2009」で、クラウドコンピューティング関連の2製品を披露した。BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)ソフトをSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供する「BPM BlueWorks」(写真1)と、企業内でクラウド環境を構築するためのアプライアンス製品「WebSphere CloudBurst」だ(写真2)。

 「開発者向けの支援はパブリッククラウドで提供し、企業システムに対してはプライベートクラウドの構築支援製品やサービスを提供していく。これがIBMの基本的な考え方だ」。米IBMでWebSphereソフトウェア担当のゼネラル・マネジャーを務めるトム・ロザミリア氏は説明する。

 パブリッククラウドは、一般に誰でも利用できる開かれたクラウドコンピューティング環境を指す。一方のプライベートクラウドは、企業グループ内といった特定の利用者向けのクラウド環境を指す。二つの製品を提供する狙いをロザミリア氏は「クラウド環境を利用してSOAに基づいたシステムの構築を支援すること」と強調する。

 BPM BlueWorksは「企業内でビジネスプロセスについて考えるビジネスリーダー向けの製品」とSOA&WebSphere マーケティング・ストラテジー・アンド・チャネルを担当のバイス・プレジデントを務めるサンディ・カーター氏は説明する。BPMソフトをSaaSとして提供することで、同一のビジネスプロセスにかかわる担当者同士が同じ画面を見ながら作業できるようになるなど「コミュニケーションが格段に良くなる」(カーター氏)という。

 業種別に事前に設定したビジネスプロセスも提供する。SaaS型のBPMソフトと業種別のビジネスプロセスの提供により、「経済環境の悪化を受け頻繁に変わるビジネスプロセスを支えるアプリケーションを、迅速に構築できる環境が整った」とカーター氏は強調。BPM BlueWorksには、先行してSaaSとしてグループウエア機能を提供している「Lotus Live」の技術を利用しているという。提供開始は09年第2四半期の予定だ。

 もう一つのクラウド関連製品であるWebSphere CloudBurstは、「ファイアウオールの内側でクラウド環境を構築したいと考える企業を支援する。この分野では初のハードウエア製品である」(ロザミリア氏)。仮想化ソフトに対応したWebSphere Application Server Hypervisor Editionを搭載。このほかWebSphere CloudBurst向けに、WebSphere上でアプリケーションを開発するために必要なフレームワークや運用管理ソフトを搭載している。

 WebSphere CloudBurstはクラウド環境そのものを構築するのではなく、「プライベートクラウドの管理者向けの製品である」(ロザミリア氏)。SOAに基づいてクラウド環境のシステムを構築した際に、アプリケーションの開発や運用保守を容易にするのが狙いだ。BPM BlueWorksと同様に、09年第2四半期から提供開始予定である。