「参照系データベースを既存のDBMSで構築すると,用途ごとに独立した複数のデータマートが乱立してしまう」――。DBMSベンダーのサイベースでマーケティング本部長を務める冨樫明氏は2009年4月30日,説明会を開催し,参照系データベースに求められる要素について解説した。更新系と参照系を兼ねたこれまでの汎用DBMSとは異なる製品が必要になると結論付けた。

 同社のDBMS製品ラインには,「Sybase IQ」と呼ぶDWH(データ・ウエアハウス)構築用途に特化した製品がある。OLTPによるデータの更新を前提としない代わりに,参照系の性能と更新系DBMSからのデータの一括取り込み(ロード)の性能を高めた。最大の特徴は,データをロー(行)ではなくカラム(列)単位で管理すること。これによりサマリー・テーブルや検索用インデックスによるデータベースの肥大化を防げるほか,ロー(行)のレコードすべてを読み込む必要がないため,検索時のデータI/Oを削減できる。

 こうしたカラム・ベースのDBMSは,米国においては複数製品が市場を形成しており,DWH専用をうたうハードウエア一体型のデータベース製品などとともに,DWH向けの製品ジャンルとして確立しているという。ところが,国内では実質,サイベース1社のみが提供している状況であり,認知度が低いという。国内でのSybase IQのユーザーは,230社ほどである。

 同じくDWH向けの製品であるハードウエア一体型のデータベース製品との違いについては,ソフトウエア製品の方が性能の拡張性などの点で有利であるとした。「小さく始めて,小刻みに性能を拡張できる。汎用サーバー機とソフトウエア・ライセンスにより,性能あたりのコストを見通せる」(冨樫氏)。この一方で,ハードウエア一体型製品は,性能を拡張する際に膨大なコストがかかる傾向にあるとした。例として,性能拡張時にアプライアンスからSybase IQにリプレースしたユーザー事例について触れた。

■変更履歴
最終段落で,Sybase IQへのリプレース事例について触れた部分で,アプライアンスの社名に誤りがありましたので,社名を削除しました。本文は修正済みです。 [2009/05/01 14:35]