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 富士通は2009年4月30日、2009年3月期の通期業績に関する説明会を開催した。出席した野副州旦社長(写真)は、1123億円の純損失を計上したことを受けて、「2年連続で最終赤字を計上することは絶対にできない」と明言。今期(2010年3月期)は200億円の純利益を何としてでも確保する決意を表明した。売上高の伸びは期待できないため、営業費の削減などを徹底することで成し遂げる。「今期を飛躍に向けた変革の年にする」と意気込む。2010年3月期の業績見通しは前年同期比2.3%増の4兆8000億円、営業利益が同16.3%増の800億円、経常利益が同298.6%増の600億円。

 野副社長は「今期の最大の課題」と位置付ける半導体事業の構造改革にいっそう踏み込む。同日発表した台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー (TSMC)との協業を「一つの方向性を示したもの」と説明する。今後、製造の外部委託を加速するとみられる。半導体子会社富士通マイクロエレクトロニクスは40nm世代のロジックICの製造をTSMCに委託する。28nm以降の世代の製造技術を両社共同で開発する。

 半導体事業と並ぶ経営課題となっていたハードディスクドライブ(HDD)事業に関しては30日付で、東芝、および昭和電工との間で事業譲渡契約を正式に締結したことも明らかにした。7月1日付でドライブ事業を東芝に、記憶媒体事業を昭和電工にそれぞれ譲渡する。「不採算事業の改革を進めることで、2010年度以降に景気が回復したとき、すぐに反攻に移れる体制を築く」と野副社長は繰り返した。