写真1●NTTの宇治則孝副社長
写真1●NTTの宇治則孝副社長
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写真2●CBoCの紹介資料
写真2●CBoCの紹介資料
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 NTT(持ち株会社)は2009年4月28日,韓国の大手通信会社KTと共同で,NGNを活用したビジネスモデルの開拓を目指す「NTT-KT ベンチャーフォーラム 東京 2009」を開催した。この席で,NTTの宇治則孝副社長はNTT版クラウドといえる「CBoC(Common IT Base over Cloud Computing)」について紹介し,今年度中にもサービスを開始できるという見通しを語った。

 同フォーラムは,NTTとKTがベンチャー企業やベンチャー・キャピタルなどを招き,市場動向やビジネスモデルなどの意見交換を行う場となっている。2008年には米国・パロアルトと韓国・ソウルで2回の会合を開き,今回が3回目の開催となる。NTTは,同フォーラムでの交流を通じて,有望なビジネスモデルが生まれれば,協業による事業化なども検討する姿勢だ。

 会合で挨拶したNTTの宇治則孝副社長は,NTTグループが推進するNGN(次世代ネットワーク)の取り組みについて紹介した(写真1)。その一例として,信頼性を高めたクラウド・コンピューティングのプラットフォーム技術「CBoC(Common IT Base over Cloud Computing)」の開発状況を紹介。これは,ネットワーク経由で利用するアプリケーション・サービス「SaaS(Software as a Service)」の運用プラットフォームを開発する共通基盤となるという(写真2)。

 この技術を使えば,金融機関や医療機関向け,電子政府向けなど,信頼性やセキュリティ・レベルの異なる様々な業界に対応したクラウド・コンピューティング環境を,短期間で開発できるようになるという。宇治副社長は「CBoCを活用したクラウド・コンピューティング基盤を,順次実用化する計画。今年度にもサービス展開できるだろう」と展望した。さらに,宇治副社長は「経済危機を乗り越えるためにも,こうした時期にこそ色々なイノベーションが生みだすべき。コラボレーションを深め,NGNを社会を支えるインフラにしていきたい」と締めくくった。

 フォーラムではこのほか,KTのチェ・ドーワン副社長が無線LAN対応のVoIP電話機などを紹介したり,SaaSプラットフォームを提供する米国のベンチャー企業オプソースのトレブ・ライアンCEOなどベンチャー企業11社がプレゼンテーションを行った。NTTとKTは今後も新ビジネスの開拓で協業を継続し,ベンチャー企業とのアプリケーション共同開発,事業化などに取り組む計画である。

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