写真 代表取締役社長の森泉知行氏
写真 代表取締役社長の森泉知行氏
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 ジュピターテレコム(J:COM)は2009年4月28日,2009年度第1四半期決算説明会を開催した。報道陣やアナリストからの質問には,代表取締役社長の森泉知行氏(写真)などが対応した。主な内容は以下の通りである。

【質疑応答開始】
Q.地上放送の「デジタル・アナログ変換サービス」についての考え方を教えて欲しい。

A.(森泉氏)デジ・アナ変換サービスには社会的意義があるとは思うが,このサービスの提供に使うアナログ機器の補修部品を確保したり,補修サービスを提供したりする必要がある。さらに暫定的なサービスとは言え,我々のビジネスに対する影響を考えなければならない。経済合理性が成り立ち,さらに補修の対応もできるのであれば,当然検討に値することだと思う。

Q.地上デジタル放送の再送信サービスを有料化する意向を示しているが,これは地上デジタル放送の再送信に限定したサービスを提供するということか。またこのサービスでどの程度の利用を期待しているのか。

A. (森泉氏)J:COMの回線でテレビを見ているが,多チャンネル放送に加入しておらず,お金を支払っていない世帯が500万世帯以上ある。まだ最終的に決めたわけではないが,こうした世帯から再送信料金を取ってサービスを展開することも考えていこうと思っている。さらに多チャンネル放送を含める形で新たなサービスメニューで売ることも検討したい。

 後で質問に出ると思うが,当社の3月のCATV加入者は(前月比)純減となった。関東圏ではNTTさんが攻勢を掛けており,多チャンネル放送の加入者を(地上デジタル放送などの)再送信サービスに切り替えさせている。我々は再送信サービスを持っていないので,そのままNTTのサービスに流れてしまっている。ダウングレードのリスクを恐れずに,地デジ再送信サービスをインターネットやIP電話の加入者に導入を勧めるべきかどうか。これは早急に決断すべきテーマであると考えている。

Q.新しいマーケットである旧メディアッティ系列局のサービスエリアではどのくらいの時期から加入率が上がってくると考えているか。

A. (森泉氏)現在,ほかのエリアではCATVの加入率は25%。それに対して旧メディアッティなど,買収したCATV局のサービスエリアにおける加入率は10%程度である。なるべくほかのエリアの加入率(25%)に近づけていきたい。メディアッティ傘下のCATV局ではJ:COMサービスの提供を開始するタイミングが異なる。一番早い系列局は2009年7月にJ:COMサービスの提供を開始するので,この時期から加入率は上がっていくだろう。

(常務取締役の青木智也氏)旧メディアッティの系列局は2009年7月に1局がJ:COMサービスを開始した後,9月に2局が,10月にもう1局が同サービスを開始する予定だ。残りの局については,2010年度の早い段階で開始したい。

Q.テレビサービス加入獲得策の一環として,「地域別戦略の再構築」を行うことになっているが,これについて詳しく教えて欲しい。

A. (森泉氏)これまでは金太郎飴みたいに全国で同じサービスを提供していたが,例えば(加入者が)好きな番組は全国によってバラツキがある。もう金太郎飴方式は加入者のニーズに対応できない。地域ごとにある程度柔軟性を持ったサービスを展開していきたい。例えば関西地域では韓流(コンテンツ)の人気が高いので,そういうものを集中的にラインアップに入れると同時に,イベントもその地域で集中的に実施するなど,そういう工夫が必要だろう。地域ごとにきめ細かく戦略を立てて実施していく。
【質疑応答終わり】

 なおJ:COMの2009年12月期第1四半期の連結業績は以下の通りである。

営業収益:808億800万円(前年同期比13%増)

営業利益:154億7900万円(同15.6%増)

税金等控除前利益(税引前利益に相当):147億円(同17.3%増)

当社株主帰属四半期純利益(当期純利益に相当):69億4900万円(4.3%増)

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